★今年もありがとうございました。
今年もいろいろな本を読んで、楽しんだ1年でした。
感動した作品、ためになった作品、そして思わず笑ってしまった作品など、振り返るとたくさんの思い出が蘇ります。
みなさんが、今年読んだ本で一番心に残った作品は何ですか?
2024年を振り返り、私(こうよう)が特に印象に残った本をベストテン形式で紹介させていただきます。
印象深い書籍ベスト10
2024年は、173冊の本を読んで、そのうちの61作品を記事にしました。
その中で、私(こうよう)私個人の面白かった度(好き度)とオススメ度(推し度)を★10を満点にして新たに採点しなおしました。
ランキングは、その合計をもとに作成しています。
第十位:生きてさえいれば
好き度:★★★★★★★★★☆
推し度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
生きてさえいればは小坂流加氏による2018年の小説です。
物語は、小学6年生の男の子「千景」が、入院中の叔母「春桜」の手紙を、大阪にいる「秋葉」に届けるところから始まります。
時系列が「現在」から始まり、回想で「過去」、そしてまた「現在」と流れていきます。
採点のポイント
今まであまり読んだことがないタイプの小説でした。
登場人物の心情描写が細かくリアリティがあって、(いい意味で)気持ちが悪いくらいで、そこが私(こうよう)的にはかなり良いと感じました。
最初から最後までリアルな展開で、大きな事件や奇跡的な出来事が派手に起こるわけでもないストーリーなので、なかなか万人ウケはしないように感じたところもあり、オススメ度(推し度)は控えめです。
オススメのポイント
・(いい意味で)気持ちが悪いほどリアルで人間味がある登場人物
・細かくリアリティがある心情描写
第九位:いもーとらいふ
好き度:★★★★★★★★☆☆
推し度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
「いもーとらいふ」は入間人間氏による小説です。
上下巻の全2巻で、上巻が2016年8月10日、下巻が2016年10月7日は発売されています。
『いもーとらいふ』の主人公は「兄」とその3つ年下の「妹」です。
名前は明かされません(兄妹以外の人も全員名前はでません)。
上巻は、愛や人生についての哲学的な自問が多く、下巻は(いろんな意味で)答え合わせのような内容です
採点のポイント
心情描写が細かくてすごく好みの作品です。
世間一般とはちょっとズレた、兄妹の「愛と人生の哲学」が面白く感じましたね。
そして、なんだか見てはいけないものを見てしまっているような……そんな気分になる小説でした。
上巻は特に、なんだかずっと、何とも言い難い居心地の悪さというか、不穏な空気感があり、それが本作の魅力だと思うのですが、同時に誰もが楽しめるタイプの小説ではないとも感じました。
兄妹を理解できないとただ気持ちの悪いだけになってしまうことになるため、合う合わないが分かれそうです。
そのため、オススメ度(推し度)はちょっと控えめにしました。
オススメのポイント
・独特の雰囲気と繊細な心情描写
・身近なテーマと読みやすい文章
第八位:イリヤの空UFOの夏
好き度:★★★★★★★★☆☆
推し度:★★★★☆☆☆☆☆☆
イリヤの空、UFOの夏は秋山瑞人氏による小説で2001年から2003年に全4巻のが刊行されました。
主人公は中学二年生の浅羽直之。彼は夏休みの最終日、山籠もりからの帰り道に学校のプールに忍び込み、そこで伊里野加奈に出会います。
そこから浅羽とイリヤが過ごしたひと夏の物語が始まります。
採点のポイント
全4巻とは思えない満足感です。
各巻を読み終わったときのイリヤに対する印象の変化はおそらく著者が意図したとおりだったはずで、最終巻を読み終わった後は何とも言えない感覚になりました。
本作は全4巻でそれぞれが完結したものではなく、あくまで4巻まで全てとおして1つの作品といった印象です。
逆に言えば、4巻まで読まないと魅力の半分どころか、1割すら伝わらないといっても過言ではありません。
ライトノベルで1巻あたりのページ数も多くなく、全4巻という巻数でもあるので、読むためのハードルはそこまで高くはありません。
序盤のノリや雰囲気はいかにも当時の作品といった感じで、合わない人には面白さを感じるまでにちょっと時間がかかる(先まで読む必要がある)のでちょっとオススメ度(推し度)を控えめにしました。
(しかし、最後まで読めば、そのちょっと退屈だと感じた部分の印象がひっくり返る感覚を味わえます!)
オススメのポイント
・全4巻とは思えない満足感(完成された世界観とテーマ)
・ラノベ的部分と(いい意味で)ラノベ的ではない部分の融合
第七位:餓狼伝
好き度:★★★★★★☆☆☆☆
推し度:★★★★★★☆☆☆☆
餓狼伝は夢枕獏氏により1985年より書き下ろされた格闘技小説です。
餓狼伝Ⅰが双葉社より1988年6月13日に発売されました。
「”あいつとこいつとはどちらが強いのか”執筆同時には存在しなかったリアルな格闘技小説が餓狼伝です。」
著者である夢枕獏氏は、餓狼伝Ⅰのあとがきにそう書いています。
夢枕獏氏には本格的な格闘技経験はなく、格闘技の素人がどこまで人と人との戦いを書けるか、に挑戦したそうです。
餓狼伝Ⅰは、空手家の丹波文七とプロレスラーの梶原年男との因縁と戦いを描いています。
採点のポイント
著者・夢枕獏氏らしい熱く苦しいような心情描写が魅力的でした。
派手さはありませんが、熱くリアルな描写が小説というプラットフォームにマッチしていると感じました。
登場人物がみな魅力的なのも餓狼伝の特徴です。
登場人物の強さに対する考え方や信念、現在に至るまでの出来事や葛藤が細かく描かれていて、登場人物の魅力を存分に引き出しています。
登場時から物語が進んで行くにつれて、登場人物はどんどん魅力的になります。
それは勝っても負けても同じです。
負けてもその人物の魅力がなくなることはありません(むしろ魅力がアップします!)。
ちなみに現在も餓狼伝シリーズは完結していません。
餓狼伝としては13巻で終わりですが、その後「新・餓狼伝」として継続しています。
餓狼伝Ⅶのあとがきに、物語の終りについて、著者が考えを述べていますが、それを見る限り、そう簡単に”完結”するものではないし、安易に完結を望むべきでないような気持にもなります。
オススメのポイント
・特徴的な熱い心情描写
・魅力的な登場人物たち
第六位:涼宮ハルヒの直観
好き度:★★★★★★★★☆☆
推し度:★★★★★☆☆☆☆☆
涼宮ハルヒの直観は谷川流氏による2020年の小説です。
「涼宮ハルヒ」シリーズとしては第12巻にあたります。
「涼宮ハルヒの直観」には、短編「あてずっぽナンバーズ」、中編「七不思議オーバータイム」、長編「鶴屋さんの挑戦」の3編が収録されています。
採点のポイント
あてずっぽナンバーズはただのSOS団の日常といった感じで内容は本当に他愛のないものなのですが、そうそうこんな感じだった!とずっと懐かしい気持ちでいっぱいでしたね。
七不思議オーバータイムはミステリー研究会(通称:ミス研)の女子を交えた、実に”涼宮ハルヒシリーズ”らしいお話でした。
キョン、小泉、長門、みくるちゃんのお約束的な描写は鉄板でやっぱり面白いです。
鶴屋さんの挑戦はSOS団+1名がメールによる謎解き挑戦を挑まれるお話です。このお話が”涼宮ハルヒシリーズ”らしいかどうかは別として、ミステリー初心者の私(こうよう)にとってはとても面白かったですね。
涼宮ハルヒシリーズはアニメが大ヒットした作品ですが、アニメや漫画にはない(表現できない)小説ならでは面白さがあります。
本作の面白さはシリーズの登場人物ありきというわけでもないですし、逆に登場人物を好きなだけでは面白いと感じることはできないという、ちょっと微妙な立ち位置の作品に思えました。
ただし私(こうよう)も含め、ハマる人にはドはまりする作品だと思います!
オススメのポイント
・ミステリ的(小説ならではの)な面白さ
・キャラクターの良さ(お約束展開を楽しむ)
第五位:四畳半タイムマシンブルース
好き度:★★★★★★★★★★
推し度:★★★★☆☆☆☆☆☆
四畳半タイムマシンブルースは森見登美彦氏による2020年の小説です。
森見登美彦氏の「四畳半神話体系」と上田誠氏の「サマータイムマシン・ブルース」のコラボ作品です。
しかし『四畳半タイムマシンブルース』は「四畳半神話体系」を知らない人でも、話に付いていけない、とか理解できない、そういったことはありません。
物語は、阿保の大学生たちがクーラーのリモコンをめぐり、時をかける物語です。
採点のポイント
本作はアニメと小説を同時に楽しんだ作品です。
アニメの良さと小説の良さを改めて感じることができて、両方一緒に楽しんだことで面白さが倍増しましたね。
愛すべき阿保の大学生たちと、わちゃわちゃした楽しくてしょうもない雰囲気が魅力的で、読んでいるだけで楽しくなる独特の文章、いわゆる「森見節」が最高でした。
前述のとおり、「四畳半神話体系」の登場人物たちがわちゃわちゃする作品です。
なので「四畳半神話体系」を知っていたほうが面白さ倍増です。
逆に言えば「四畳半神話体系」を面白いと感じれる人は、絶対に本作も楽しめますよ!
オススメのポイント
・愛すべき阿保たち
・著者特有の言葉選びと文章(森見節)
第四位:LOVE理論(スパルタ婚活塾)
好き度:★★★★★★★☆☆☆
推し度:★★★★★★★★☆☆
「LOVE理論(新装版)」と「スパルタ婚活塾」は水野敬也氏による書籍です。
LOVE理論が2013年12月14日に、スパルタ婚活塾は2014年7月25日に発行されています。
水野氏と言えば夢をかなえるゾウシリーズなどで有名ですね。
本書は水野氏が自身の経験をもとに独自の恋愛理論を展開する内容です。
採点のポイント
久しぶりに本を読んで笑いました。
コメディは全般的に苦手(というか理解できないことが多い)なのですが、本書はめちゃくちゃ面白かったですね。水野氏が、恋愛体育教師”水野愛也”としてモテない男子たちに指導するのですが、歯に衣着せぬ物言いと時には体罰すら辞さぬ姿勢、そして生徒のことを愛する心が昭和の熱血教師を彷彿とさせます。
LOVE理論は男性向けにスパルタ婚活塾は女性向けに書かれていていますが、どちらの本でも男女両方が楽しめる内容です。
ただそ2冊ともに下ネタも多いので、苦手な人は注意が必要です。
ただし下ネタと言っても、リアルで気持ちの悪い感じではなく、学生時代のバカなノリで話している感じなので不快感は少ないと思います。
全体的に言い方が極端かつギャグテイストに書かれていてますが、理論は納得できるようなことも多いのは事実です。
この雰囲気のおかげて、楽しく読み進められます。
オススメのポイント
・恋愛体育教師”水野愛也”の面白さ
・面白くて読みやすい文章
第三位:ぼく、ドラえもんでした。
好き度:★★★★★★★★★☆
推し度:★★★★★★★☆☆☆
ぼく、ドラえもんでした。は、ドラえもんの声優である大山のぶ代さんによる書籍です。
大山のぶ代さんは1979年のアニメ開始からドラえもん役を演じられていて、2005年に勇退されました。
本書は大山さんがドラえもんの声優として活動を始めてから、ドラえもん役を勇退するまでの26年間の出来事と大山さんによるドラえもんへの想いが綴られています。
採点のポイント
大山さんがドラえもんとの出会い、ドラえもん役を勇退されるまでの出来事や感じたこと、ドラえもんへの想いが”大山さんの言葉”で書かれていて、大げさではなく本当にそのすべてが愛に溢れていて、とても感動しました。
優しい文章で読んでいると心が休まりますし、幸せな気分になります。
そしていろいろな思いが溢れてきてすごく感動します。
大山さんが演じたドラえもんを見ていた人たちは感動して泣いてしまうこと間違いなしです。
オススメのポイント
・やさしい文章
・大山さんのドラえもんと子供たちへの愛
第二位:六人の噓つきな大学生
好き度:★★★★★★★★☆☆
推し度:★★★★★★★★★★
六人の噓つきな大学生は朝倉秋成氏によるミステリー小説で、2021年に刊行されました。
物語は、ある企業の就職試験の最終選考に残った6人の大学生たちが、最終選考の課題であるディスカッションを行う場で、ある不可解な”事件”に巻き込まれていくというものです。
採点のポイント
ミステリ作品というだけあって、謎解きと緊張感のある描写が魅力的です。
しかしそれと同じくらい(それかそれ以上)に人間の心理や社会的問題のこと、物語的な面白さも感じる作品でした。
物語が進む過程で、登場人物たちの印象が何度も変わるのも印象的でしたね。
また物語には伏線が随所に張り巡らされており、それが回収されるたびに「なるほど!そういうことか!やられた!」と気持ちよくなる瞬間を楽しむことができます。
緊迫感あふれる展開と深い心理描写の両方を楽しめ、物語としてもすごく面白い作品で多くの人にオススメしたい作品です。
オススメのポイント
・深く繊細な心理描写と緊張感のある展開
・読み終わった後に余韻が残るような、考えさせられるテーマ
第一位:永遠についての証明
好き度:★★★★★★★★★☆
推し度:★★★★★★★★★★
永遠についての証明は、岩井佳也氏による2018年の小説です。
大学の准教授であり数学者の熊沢勇一は、親友の数学者の三ツ矢瞭司が晩年取り組んでいた理論の研究ノートを手に入れ、瞭司のノートを解読しその研究を引き継ぐことを決意したところから物語は始まります。
採点のポイント
数学の楽しさや喜び、その面白さがとても伝わってきます。
数学に理解がない読者であっても、登場人物たちが熱中する姿や、その魅力を語る様子を表した文章を読めば自ずとそう感じるはずです。
また、数学の天才(数覚を持つ者)だけが見ている世界を美しく表現した文章も魅力的でした。
天才の苦悩と、幸福な人生とはなにかを考えさせられるような内容も心に刺さりました。
見える世界が違うということは、孤独なもので、しかしそれを簡単に不幸だと決めつけることはできません。
天才たちの人生を垣間見ることで、さまざまな人生観や幸福について、改めて考えさせられました。
オススメのポイント
・心に響く内容(天才の孤独と苦悩、人生のこと)
・数学の美しさを表現した文章
おわりに
すっごく悩んでランキングを作りました。
面白いと思った本しか記事にしていませんから、そこからさらに絞り込まなければいけないわけで……。
かなーり時間をかけて10作品に絞った後で、それからまたものすごーく時間をかけて順位付けしましたよ。
2024年を振り返って
振り返ると……今年もたくさん素晴らしい作品にであえたな、と。
特に今年はKindle端末を購入したことで前年より読書ライフが充実したような感覚があります。
毎日、決まった時刻、だいたい決まった時間(約1時間~2時間)読書をしたのですが、そのおかげでたくさんも本を読むことができましたね。
たくさん読めば良いというわけでは(もちろん)ありませんが、そのおかげでよりたくさんの素敵な本に出合えたのも事実です。
また記事を書くことで、頭の中を整理できて読んだことがより身に付いた感覚があって記事を書くことが、本を楽しむことのプラスの要素になっていたのも良かったですね。
やりたいことや目標
2025年も、読書の習慣は継続する予定です。
新しい本もそうですが、昔読んだ本を今読んだらどんな感想になるか気になっているというのもあるので、昔読んだ本を再読して楽しみたいとも考えています。。
今年は新しい本をたくさん読んだ年になったので、来年は1冊の本をじっくり楽しんで、時には読み返したりしながら、感想記事も書いていきたいです。
ご挨拶
今年から始めたつたない文章のブログですが、読んでくださり、本当にありがとうございました。
自分の思いを発信することがこんなにも難しく、楽しいものだとは思っていもいませんでした。
来年も読んでもらえたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!
2025年が、皆さんにとって素敵な本との出会いに満ちた年になりますように!
よいお年を~
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