【リバー、流れないでよ】ネタバレなし感想「ループは人生の縮図のよう」

日本映画

☆面白い映画を探している人に向けた記事

 ヨーロッパ企画制作のオリジナル映画「リバー、流れないでよ」を視聴しました。
 本作を視聴するか迷っている人や、次に観る映画を探している人はこの記事を参考にしてください。

作品概要

 リバー、流れないでよは2023年公開の映画です。

 冬の老舗旅館を舞台に、繰り返される2分間のループから抜け出せなくなった人たちを描く群像劇となっています。

 原案、脚本はヨーロッパ企画の上田誠氏です。
 上田氏といえばアニメ「四畳半神話体系」のシリーズ構成と脚本や、先日記事にした「四畳半タイムマシンブルース」の原案と脚本の人ですね。

 上映時間は1時間26分です。

感想

 2分間という短い時間がループする設定ですが、登場人物たちの記憶はそのまま引き継がれます。
その2分間という制約の中でどう行動するのか、どう心境が変化するのかが見ていて面白かったです。

ループから抜け出したい人たち

 作中でループから抜け出したいと思っている人物で分かりやすかったのは、料理人見習のタクと、編集者のスギヤマです。
二人に共通しているのは、今に不満があることだと思います。

 料理人見習のタクは、フランス料理の修行に出たいと考えていて、編集者のスギヤマは担当作家のオバタに小説の続きを書いてもらいたいと思っています。
 二人は今日よりも明日をよくするために今現在頑張っている人です。

 今の努力は未来をもっとよくするためのものですから、明日が来ないなんて最悪ですよね
なんとしてでもループから抜け出したいと思って当然です。

 それに、同じことの繰り返しは退屈だとも言えます。
日々変化していく日常を楽しんでこそ、人生をもっと有意義に感じるコツみたいなところもありますよね。
変わっていくものを変わらないように抗うよりも、変わっていくものを楽しみに、流れに身を任せる方が案外物事はうまくいったりしますから。

 ループから抜け出したい人からしたら、ループに留まりたい人なんて理解できないでしょうね。

ループに留まりたい人たち

 ループから抜け出したい人もいれば、ループに留まりたい人もいます。

 作家のオバタは、締め切りに追われる日々から逃げ出したくて、ループに留まることを望みます。
今やるべきことを先延ばしにすれば、後でどうなるかなんてわかっていますから、それだったら明日なんて来なければいいといった感じでしょうか。

 生きていれば、苦しいことや辛いこと、逃げ出したいようなことがたくさんあります。
そんな思いをするくらいだったら、何も変わらない今の日常をただ繰り返すだけのほうがマシという考えになってしまうのも理解できます。

 しかし、世の中で変わらないものはありません。
目に見えるものも目に見えないものもすべてです。
変わらないようにするには、変わっていくものに合わせて、自分も変化し続ける必要があります。
変わらないために変わる必要があるなんて、意味わかんないかもしれません。
ですが、世界が変わり続けていっている以上、自分が変わらなければ、自分だけが取り残されて、結果周りのすべてが変わっていってしまいます。

 ループに留まりたい人たちは、そういったきびしい現実を理解しつつ、ループという非現実的な出来事が起こってしまったために、それにすがり付いているように思えました

ループに捕らわれた人たちを見て

 現実では、川の流れが逆になることも、止まることもないように、時間が止まることはありえません。
本作は、そんな”もし”が起こったときに人はどうなってしまうのか、を意外とリアルに描いているようにも見えました。

 ループに捕らわれていると知った人たちの思考や行動のパターンはさまざまで、もし自分がループに捕らわれたときに、自分がするであろう行動や言動と同じ人物が一人はいそうな感じです。

 そして、このループに捕らわれたときの行動が、結局は、今すべきことのように思えたのが、意外でした。
2分間という限られた時間の中ですべきことが、人生という限られた時間の中ですべきだったりするのですから。

 登場人物たちは、ループの中で挑戦と失敗を繰り返しながら、少しずつですがループ脱出に近づいていきます。
ループの中ならば2分で挑戦の結果も分かりますし、その失敗を次の2分に活かすことが簡単にできます。
 これってループの中じゃなくてもおんなじですよね。
挑戦して失敗して、それを活かしてまた挑戦して、それを繰り返して成功に向かっていく…

 2分間のループを見てこんなこと考えるなんて思ってもみませんでしたよ!

まとめとオススメ度

 見ていて楽しい映画でした。
ループに閉じ込められているのに全然悲壮感とかなくて、挙句「初期位置が~」とか「次のターンで~」とかループにだんだん慣れていくのが面白かったですね。

 そして意外や意外、コメディ映画なのに、しっかりとした内容と伝えたいことがあって、いい意味で期待を裏切られました

こうよう
こうよう

わちゃわちゃ感が見ていて楽しかったです。

パン
パン

旅館の雰囲気も良かったよね!

 リバー、流れないでよ」のオススメ度は★3.5です!(満点が★5.0です)
 設定もシンプルで分かりやすく、テンポも良かったので、とても見やすい映画です。
登場人物も個性豊かで楽しい雰囲気なので、男女問わず幅広い年代の人にオススメできます

こんな人にオススメ

・コメディ映画を見たい

・分かりやすい映画が好き

・わちゃわちゃした感じの映画が好き

コメント

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