どこまでが正義と言えるのか?
暴力と欲望が渦巻く昭和末期の広島を舞台に、警察とヤクザの一線をギリギリで渡り歩く男たちの生き様が描かれる『孤狼の血』。
この映画、ただのバイオレンス映画では終わりません。
胸に迫る人間ドラマと、信念に生きた男たちの姿が、観る者の価値観を揺さぶってきます。
役所広司が見せた圧倒的な存在感は、その世界に飲み込まれる覚悟を持って見る価値アリです!
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

タイトル | 孤狼の血 |
監 督 | 白石和彌 |
主 演 | 役所広司、松坂桃李 |
公 開 | 2018年 |
ジャンル | クライム、アクション |
上映時間 | 125分 |
原 作 | 柚月裕子氏による小説 |
昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島・呉原(くれはら)を舞台に、暴力団同士の抗争の火種がくすぶる中、加古村組の関連企業に勤める社員が失踪する事件が発生。
その事件を追うのは、型破りなベテラン刑事・大上(役所広司)と、生真面目な新人刑事・日岡(松坂桃李)。
事件の背後にある巨大組織の影、警察内部の思惑、大上自身にかかる疑惑――。
暴力と陰謀が渦巻く中、ふたりの刑事がたどり着く結末とは。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

『孤狼の血』には、ただの刑事ドラマやバイオレンス映画を超えた重厚なメッセージがあります。

出典:孤狼の血
①正義とは何か?
役所広司演じる大上の行動は、法を逸脱したものが多く、いわゆる”悪徳警官”に見えます。
でも、彼の行動には一貫した信念がありました。正義とは何か。
法を守ることがすべてなのか。
大上の背中を追いながら、自分の中の”正義”が揺さぶられます。
②表と裏、それでも通す筋
大上の行動の裏には、すべてを見通した計算がありました。
誰が信じられて、誰が危険か――
彼はすべてわかったうえで、あえてその中に飛び込んでいたように思えます。
暴力団と対等に渡り合うには、それだけの肝と覚悟が必要で、その姿勢が「本物の男の信念」を感じさせるものでした。
③成長する若者、受け継がれる意志
松坂桃李演じる日岡は、最初は組織の中で型通りに生きる警察官でした。
しかし、大上と共に行動する中で、自分の信じる正義とは何かを考え、最後にはそれを自分の言葉と行動で示します。
日岡が成長していく過程は、私たちが共感しやすい「人生の転機」にも重なるところがありました。
なぜこの作品がオススメなのか

①圧倒的な役所広司の演技力
まず挙げたいのは、なんといっても役所広司の演技です。
彼の代表作といえば『すばらしき世界』や『PERFECT DAYS』などがありますが、本作『孤狼の血』では、それらに劣らぬ……いや、それ以上の凄みを感じさせてくれます。
正義とも悪ともつかない大上という難役を、あれほど説得力を持って演じられるのは、やはり役所広司ならでは。
「この人が出ているだけで観る価値ある」
そう思わせてくれる存在感です。
②男たちのぶつかり合いと深いドラマ
暴力的な描写は確かに強烈ですが、それだけでは終わらないのがこの作品の魅力。
男たちのぶつかり合いや裏切り、信頼、誇り――
そういったものが渦巻くドラマとしても見応えがあり、人間の本質に迫ってきます。
「自分だったらどうする?」と考えさせられる場面が多く、見終わったあともしばらく余韻が残るタイプの映画です。
③松坂桃李の意外な魅力
もう一つ触れたいのが松坂桃李の好演です。
静かながら芯のある日岡という役を、徐々に変化していく人物としてしっかり演じており、役所広司と対になる存在として物語に深みを加えてくれています。
総評・まとめ


出典:孤狼の血
『孤狼の血』は、ただの警察とヤクザの抗争映画ではありません。
そこには”信念”を持って生きる男たちの姿があり、善悪の境界線がグレーな現実の中で、それでも一本筋を通すことの尊さが描かれています。
重いテーマを扱いつつも、演者たちの熱量と緻密な脚本で最後まで引き込まれっぱなし。
観終わった後、少し世界が違って見えるかもしれません。
『孤狼の血』のオススメ度は⭐3です!
かなり暴力的で過激な描写が多く、R15+指定されているので注意が必要です。

役所広司をはじめとする俳優陣の演技が素晴らしく、特に人間ドラマの部分で深く感情移入できました。

強烈な描写の印象があまりにも強いから、物語から得られる教訓や余韻が少し薄れてしまうかも。
こんな人にオススメ

- 男同士の生き様に魅力を感じる人
- ハードボイルドな警察ドラマが好きな人
- 役所広司のファン、または彼の演技をじっくり味わいたい人
- 人間の正義や信念について考えさせられる物語を求めている人
- 映画を通してちょっと哲学的な問いを感じたい人
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