『リケジョ!』科学の世界に魅せられた少女たちの奮闘記【書籍レビュー】

「科学は世界を解き明かす力を持つ」

そんな言葉を聞いたことはありませんか?科学の力で謎を解き明かすとき、そこには論理的な思考や探究心が必要になります。

そして、それは決して専門家だけのものではありません。

本書『リケジョ!』は、そんな科学に魅せられた理系女子たちが、科学の知識と推理を駆使して謎を解いていく物語です。

主人公は、小学生の理緒りおと、彼女の家庭教師をすることになった大学院生のりつ

彼女たちは、まるで「名探偵と助手」のように科学的な手法を用いて日常のミステリを解決していきます。

ミステリ作品と言っても、血なまぐさい事件が起こるわけではありません。

むしろ、日常のふとした疑問や謎を解決していく、ちょっと知的で温かい物語です。

今回は、そんな『リケジョ!』の魅力をたっぷりとご紹介します。



オススメ度について
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作品概要

作品名リケジョ!
(※プチ・プロフェスール)
著者伊与原いよはら しん
ジャンルミステリ
発行日2014年2月25日
ページ数336ページ
読み終えるまでの目安4時間46分
あらすじ

貧乏大学院生で人見知りの律は、不本意ながら成金令嬢・理緒の家庭教師をすることに。

科学が大好きな理緒は、律を「教授」と呼んで慕い、二人は次第に信頼関係を築いていく。

科学的なアプローチで日常の謎を解明する二人の成長と交流を描く理系ミステリ作品。

※本書は2011年発行の単行本『プチ・プロフェスール』を改題し文庫化したものです。


作品から学べる教訓・人生観(感想)

納得が得られなければ、心の安寧が得られない。
そういうたちの人々がいる。

伊与原新(著)リケジョ! 渡辺由美子氏による解説より引用

①知的好奇心が世界を広げる

本作に登場する理緒は、科学に対して旺盛な好奇心を持っています。

「なぜ?」「どうして?」と疑問を持ち、それを解決するために科学的なアプローチを試みる。

これは、成長に欠かせない要素です。

私たちの日常生活でも、知らないことに出会ったとき、深く考えずにスルーしてしまうことは少なくありません。

しかし、本作を読んでいると、「知らないことを知る楽しさ」を思い出させてくれます。

②「理不尽さ」とどう向き合うか

主人公の律は、幼い頃に理不尽な出来事を経験し、「世界は不公平だ」と感じるようになりました。

しかし、彼女は科学に魅せられます。

なぜなら、科学は「誰にでも公平」であり、感情に左右されることなく真実を示してくれるからです。

この考え方には、非常に共感できる部分がありました。

私自身、理不尽な出来事に直面すると、物語の世界に没頭することで気持ちを整理してきました。

律が科学に救いを求めたように、人はそれぞれ異なる形で「世界との向き合い方」を見つけていくのかもしれません。

③完全なる科学と不完全な人間

『リケジョ!』に登場する理系の人たちは、「なんとなく」とか「空気を読む」ことが苦手なようで、「正しさ」を重要視する姿勢が印象的でした。

論理的に正しいことを貫こうとするからこそ、周囲と衝突したり、自分の思いをうまく伝えられなかったりすることもあります。

そういった人間関係の難しさも科学で証明・解決できるのでしょうか?

もしそれが可能ならばもっと世界はたくさんの人に優しくなりますよね。

でもやっぱり、人間らしい“曖昧さ”や“感情の揺れ”も大切な要素なのかなと思ったりもします。

科学は完璧なもので美しいですが、人は不完全でも(不完全だからこそ)美しいとも言えますから。


なぜこの作品がオススメなのか

①科学×ミステリの組み合わせが新鮮

本作の特徴は、理系の知識がミステリ要素と絡み合っている点です。

科学的な知識が事件解決の鍵となり、「なるほど、そういうことか!」と納得させられるシーンが多々あります。

②キャラクター同士のやりとりが魅力的

小学生の理緒と、大学院生の律の関係性も魅力的です。

理緒が律を「わたしたちリケジョ」と呼ぶ場面は微笑ましく、彼女の純粋な仲間意識が伝わってきます。

また、登場人物たちは「正しさ」を重視する性格のため、人間関係の曖昧さには不器用です。

そのため、合理的すぎるがゆえのすれ違いがあり、それが物語に深みを与えています。


総評・まとめ

『リケジョ!』は、科学的な思考を軸に展開する知的なミステリ作品です。

派手などんでん返しがあるわけではなく、驚きよりも納得感を得られるタイプの物語になっています。

また、科学的なアプローチで世界を見つめる視点は、読者の視野を広げてくれます。

知的好奇心を刺激する一冊として、大人が読んでも楽しめる内容です。


リケジョ!』のオススメ度は⭐3です!

特に強いクセはなく、気軽に楽しめる良作。
ただし、人によっては物足りなく感じることも。


こうよう
こうよう

エンタメ性やどんでん返しのインパクトは控えめですが、科学をテーマにしたミステリは新鮮で、知的好奇心をくすぐります。

パン
パン

ミステリ好きには物足りなく感じるかもしれないけど、文章が難しくなく、小中学生にも読みやすいと思う。


こんな人にオススメ

  • 科学に興味がある人
  • 日常のふとした謎を解き明かすストーリーが好きな人
  • ミステリが好きだけど、残酷な描写は苦手な人
  • ちょっと知的な作品を楽しみたい人

『リケジョ!』は、科学が好きな人もそうでない人も楽しめる作品です。

知識を深めつつ、理緒と律の交流にほっこりしながら読める一冊。興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください!



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