「金で命を救う」と聞いて、あなたはどんな場面を想像しますか?
その言葉が、ただの比喩ではなく現実だった時代がありました。
映画『シンドラーのリスト』は、ホロコースト(ナチスドイツ政権によるユダヤ人への迫害と虐殺)の中で1,100人もの命を救った一人の男、オスカー・シンドラーの実話をもとにした物語です。
戦争の悲劇と人間の尊厳、そして“変わっていく”ということについて深く考えさせられる一作でした。
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

作品名 | シンドラーのリスト |
監 督 | スティーヴン・スピルバーグ |
主 演 | リーアム・ニーソン |
公 開 | 1993年 |
ジャンル | 戦争、ドラマ |
上映時間 | 195分 |
映画『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人迫害(ホロコースト)を背景にした実話に基づいています。
ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは、戦争を利用して金儲けをしようとポーランドのクラクフにやってきます。
彼はユダヤ人を安価な労働力として雇い、ホーロー容器工場を経営し、事業を拡大していきます。
しかし、ナチスによるユダヤ人の迫害がエスカレートし、虐殺が始まる凄惨な状況を目の当たりにしたシンドラーの心境に変化が訪れます。
この映画は、ホロコーストの悲劇と、その中で人間の尊厳を守り抜いた一人の男の行動を描いた作品です。
作品から学べる教訓・人生観

① ビジネスの力をどう使うかで、人は英雄にもなれる
シンドラーは、最初は戦争特需を利用して一儲けしようとポーランドにやってきた実業家でした。
軍の将校たちの心理を読み、贈り物や接待を駆使して自分の工場を成長させていく姿には、ビジネスマンとしての凄みと柔軟な頭の良さを感じました。
しかしその力は、やがて「人命を救う」という全く別の目的に使われていきます。
商売のための才覚が、人を救う力になる――
その事実に、力をどう使うか次第で人は善にも悪にもなり得るのだと感じました。

出典:『シンドラーのリスト』
② シンドラーの変化は、ひとつの事件で起きたわけじゃない
赤いコートの少女のシーンは、彼の心の変化を象徴するように描かれますが、実際には、それがすべてのきっかけというより、彼の中で積み重なっていた感情の一つにすぎないと思いました。
残虐な現場を目の当たりにし、ユダヤ人労働者と日々接する中で、シンドラーは少しずつ“良心”を取り戻していったように感じます。
急な変化ではなく、じわじわと生まれていく後悔や、怒りや、悲しみ。
それがとてもリアルで、人間らしくて、だからこそ彼の変化が心に刺さりました。

出典:『シンドラーのリスト』
③ 「もっと救えた」と悔やむ気持ちが、人間らしさを物語っていた
ラストでの「もっと救えたのに…!」というシーン。
1,100人もの命を救った人が、なぜそこまで自分を責めるのか――
一見すると不思議に思うかもしれませんが、命の重みを知ったからこそ、そして自分が持っていた力を知ったからこその苦悩だと思います。
お金や資産を「命の数」として見るようになったシンドラーの目には、指輪や車でさえも「あと何人か救えるはずだった人々」に見えたのでしょう。
その姿に、私は少し“可哀そう”にも感じました。でもそれは、彼が本当に変わった証拠でもあり、
自分の人生に責任を持った人の、静かな叫びだったのかもしれません。

出典:『シンドラーのリスト』
なぜこの作品がオススメなのか

実話であることの重み
戦争の悲劇やホロコーストの記録としてだけでなく、人がどうやって変わっていけるのか、力や立場をどう使えば、誰かの救いになれるのかを教えてくれる映画です。
ビジネス、人間の成長、そして後悔――
すべてのテーマがリアルに描かれていて、深く心に残る作品でした。
総評・まとめ

シンドラーは、決して最初から英雄ではありませんでした。
欲と計算で動いていた男が、人と出会い、現実を見つめ、変わっていった――
その変化こそが、この映画の最大の見どころだと思います。
“お金”や“立場”をどう使うかで、人は誰かの希望にも、絶望にもなり得る。
そんな当たり前だけど重たいテーマが、静かに、けれど確実に伝わってくる一作でした。
『シンドラーのリスト』のオススメ度は⭐4です!
完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

見続けるのがつらくなるようなシーンも多いですが、確実に心に何かを残してくれる作品です。

一生に一度は観ておくべき映画のひとつだね。
こんな人にオススメ

- 実話に基づく映画が好きな人
- 「変わること」や「後悔」について考えたことがある人
- ビジネスの力をどう使うかに興味がある人
- 一人の人間の成長を丁寧に描いた物語が好きな人
ただの実業家が“命を救う人”に変わる――
『シンドラーのリスト』はビジネスと人間の変化を描く名作です。
「もっと救えたはずだ」
彼の変化とその言葉の意味をぜひ確かめてみてください。
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