「もし、大切な人を失ったら、私たちはどう立ち直ることができるのだろうか――」
映画『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)は、愛する人を失った主人公が深い悲しみの中で「愛」「時間」「死」と向き合っていく物語です。
重いテーマでありながら、そこに描かれるのは人のやさしさや希望。
観る人に静かに寄り添い、自分の人生を振り返らせてくれる作品です。
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

作品名 | 素晴らしきかな、人生 |
監 督 | デヴィッド・フランケル |
主 演 | ウィル・スミス |
公 開 | 2016年 |
ジャンル | ドラマ |
上映時間 | 97分 |
広告代理店を経営するハワード(ウィル・スミス)は、娘を亡くした喪失感から立ち直れず、仕事も仲間との関係も崩れていきます。
彼は「愛」「時間」「死」という抽象的な存在に手紙を書き続けますが、ある日、その“存在”を名乗る人物たちが目の前に現れ、彼に語りかけ始める――。
作品から学べる教訓・人生観

① 元に戻る必要はない
ハワードは周囲から「以前の自分に戻ってほしい」と願われていますが、彼自身も「簡単に元に戻れるわけがない」と苦しみます。
人は喪失から“元に戻る”のではなく、“抱えたまま生きる”方向へ変わっていくのだと気づかされます。
落ち込んだときは、無理に明るく振る舞ったり「早く元気にならなきゃ」と焦るのではなく、今の自分の気持ちを否定せずに受け止めることも必要なのです。

出典:『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)』
② 受け入れる=認めること
ハワードは娘の名前を最後まで口にできません。
それは死を認めることになるからです。
認めることは変化への第一歩ですが、同時に最も難しいことでもあります。
何かつらい出来事があったとしても「なかったこと」にせず、日記や信頼できる人との会話を通じて、少しずつ言葉にしてみる。
そうすることで、立ち直るのではなく、受け入れ、前に進むことができるはずです。

出典:『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)』
③ 誰かを救うことは自分を救うこと
ハワードの同僚たちは彼を助けようと行動しますが、その過程で自分自身も「愛」「時間」「死」と向き合い、救われていきます。
人のために動いたつもりが、自分を支える循環にもつながっていく。
これは仕事や人間関係の中でも実感できる真理です。
誰かの悩みを聞いたり、小さな助けを差し伸べる。
その経験が、実は自分を癒やすきっかけになるのです。

出典:『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)』
④ 幸せのオマケ
作中で繰り返される「幸せのオマケ」という言葉。
悲しみや喪失の中でも、必ず何かを得られるものがあり、人はそこから成長していくのだというメッセージです。
今すぐ受け入れられなくても、未来のどこかで心に響く瞬間があるかもしれませんから。

出典:『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)』
なぜこの作品がオススメなのか

重く暗いストーリーの中に感じる暖かさと希望の光
重いテーマを扱いながらも、映画全体に漂うのは不思議なあたたかさです。
悲しみに共感すれば胸が苦しくなるけれど、同時に「人のやさしさ」「希望の光」を感じられる。
また、大きな組織の中で自分の行動が見えにくくても、「誰かのために動くことは必ず自分に返ってくる」という考え方を肯定してくれる作品でもありました。
総評・まとめ

『素晴らしきかな、人生』は、喪失や悲しみを抱える人にとって、決して軽い気持ちで観られる作品ではありません。
しかし、「戻る必要はない」「受け入れることは認めること」「誰かを救うことは自分を救うこと」という普遍的なメッセージは、人生のあらゆる局面でそっと寄り添ってくれるはずです。
『素晴らしきかな、人生』のオススメ度は⭐4です!
完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

テーマは重く、共感しづらい部分もありますが、それ以上にやさしさと希望を感じさせてくれる一作です。

ひねりがあるわけじゃないけど、物語が分かりやすいのも良い。
こんな人にオススメ

- 喪失や悲しみからの「立ち直り」について考えている人
- 人とのつながりの意味を見つめ直したい人
- シンプルなストーリーよりも、人生観に触れるような作品が好きな人
- ウィル・スミスの真摯な演技を味わいたい人
「立ち直る=元の自分に戻ることではない」──
この気づきは、映画が投げかけてくる大切なメッセージのひとつだと思います。
それは喪失を経験した人が前に進むために「もとに戻る」のではなく「抱えて生きる」ということ。
立ち直れていないと感じても大丈夫で、そのままでいていい。
ハワードも、そしてきっと私たちも、時間をかけながら少しずつ自分なりの受け入れ方を見つけていくのだと思います。
コメント