滅びゆく世界と人の選択――『滅びの園』が問いかける生きる意味とは【書籍レビュー】

もし、目の前に「天国のような世界」と「地獄のような現実」が存在したら、あなたはどちらを選びますか?

滅びの園』は、美しい幻想世界と絶望的な現実を対比させながら、人が生きる意味、そして幸せとは何かを問う物語です。

滅亡へと向かう世界で、それでもなお人々は戦い、あるいは逃げる。

その選択の先に何があるのか。本作を読み終えた後、あなたの人生観が少し変わるかもしれません。


オススメ度について
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作品概要

作品名滅びの園
著者恒川光太郎つねかわこうたろう
ジャンルSFホラー
発行日2021年5月21日
ページ数368ページ
読み終えるまでの目安4時間41分
あらすじ

ある日、空に突如現れた異次元の存在〈未知なるもの〉。

それに呼応するように、白く有害な不定形生物〈プーニー〉が発生し、瞬く間に地球を侵食し始める。

少女・相川聖子は、滅亡へと向かう世界で特異体質を活かしながら人命救助を続けるが、やがて最大規模の危機に直面し、命を懸けた決断をすることに。

一方、主人公・誠一は「天国のような世界」に迷い込み、そこで穏やかな日々を過ごしていた。

しかし、その世界の平和が、他の誰かの犠牲によって成り立っていると知ったとき、彼の選択は――?

絶望と希望が交錯する、幻想群像劇。


作品から学べる教訓・人生観(感想)

『滅びの園』は、一見ファンタジックな設定の物語ですが、その根底には非常に現実的なテーマが潜んでいます。

「滅びの園」とは誠一のいた想念の世界のことだったのか。

それとも、聖子たちのいる地球のことだったのか。

滅びる園なのか。

滅ぼす園なのか。

 

恒川光太郎(著)『滅びの園』池澤春菜氏による解説 より引用

①楽園と地獄の対比

誠一がいる世界は、美しく、穏やかで、争いもない「天国」のような場所。

一方、聖子や理剣が生きる地球は、増殖する〈プーニー〉によって滅びゆく「地獄」。

この対比が物語の核心となっており、「本当の幸福とは何か?」を読者に問いかけます。

②逃げることは悪なのか?

理剣たちは「世界のために戦うことこそ正義」だと考えています。

しかし、誠一は「戦うこと」よりも「やっと得た安らぎ」を守ることを選ぼうとします。

この構図は、現実世界にも通じる部分があります。

「社会のために頑張るべきだ」「夢を諦めず努力すべきだ」といった価値観が一般的ですが、誰もが戦い続けられるわけではない。誠一の選択に共感する人も多いのではないでしょうか。

③世界はすべての人に平等ではない

天国のような世界が、誰かの犠牲の上に成り立っていた。

これは、私たちの社会にも言えることです。

豊かな国に生きる人々の生活は、発展途上国の労働力に支えられている場合もある。

企業の成功の裏に、過酷な労働を強いられている人もいる。

「世界はすべての人に対して平等ではない」という現実を、物語を通じて改めて突きつけられます。


なぜこの作品がオススメなのか

『滅びの園』は、単なるディストピア小説ではありません。

  • 美しい幻想的な世界観と、リアルで冷酷な現実の対比が鮮烈
  • キャラクターたちの選択に共感し、考えさせられる
  • 人生観や幸福の在り方について深く掘り下げた作品

「絶望的な状況でも、人はどう生きるべきか?」という問いに対し、様々な視点を与えてくれる作品です。


総評・まとめ

『滅びの園』は、幻想的な世界観と哲学的なテーマが絡み合う、深く考えさせられる作品です。

「戦うことが正しいのか?」「逃げることは間違いなのか?」といった普遍的なテーマが描かれており、読後には自分の価値観を見つめ直すきっかけになるでしょう。

そして、滅びゆく世界の中で登場人物たちが選んだそれぞれの道。

その選択の先にあるのは、希望か、それとも絶望か。

この問いを胸に、あなたならどうするかを考えてみてほしいと思います。


滅びの園』のオススメ度は⭐4 です

完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

圧倒的な世界観と物語の引き込み力
哲学的なテーマが深く考えさせられる点

若干の抽象的な表現が少しある


こうよう
こうよう

全体的に非常に完成度の高い作品ですが、若干の難解さがあるため、万人受けするかというと微妙な部分も。

パン
パン

だけど考えさせられる物語が好きな人にはたまらない一冊ともいえるね。


こんな人にオススメ

  • SFや幻想文学が好きな人
  • 哲学的なテーマに興味がある人
  • 『虐殺器官』や『火の鳥 未来編』などが好きな人
  • 生きる意味や、幸福とは何かについて考えたい人

普段、仕事に追われている人や、人生について少し立ち止まって考えたい人にとって、深く心に響く作品になるはずです。


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