「兄妹の絆」と聞いて、あなたはどんな物語を思い浮かべますか?
温かくて、優しくて、家族愛に満ちたものを想像するかもしれません。
しかし、『いもーとらいふ』は一筋縄ではいきません。
この作品が描くのは、常識から少しズレた兄と妹の関係。
そして、それを取り巻く社会の偏見や、生き方の選択です。
この物語を読んでいると、胸の奥がざわつきます。
居心地の悪さを感じながらも、なぜか目が離せない。
それはきっと、「自分が本当に大切にしたいものは何か?」という問いを、読者に突きつけてくるからだと感じます。
偏見に縛られずに生きるとはどういうことか?
不器用すぎる兄妹の生き方は、本当に不幸だったのか?
そんな問いを抱えながら、ぜひこの物語を読んでほしいです。
愛しているのは間違いない。
それは無論、家族愛というべきものである。
入間人間(著)いもーとらいふ より引用
オススメ度について
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作品概要

作品名 | いもーとらいふ |
著 者 | 入間人間 |
ジャンル | ライトノベル (日本文芸) |
発行日 | 上巻:2016年8月10日 下巻:2016年10月7日 |
ページ数 | 上巻:267ページ 下巻:198ページ |
夏休みの終わり、10歳の「俺」は6歳の妹に泣きつかれる。
日記を書くのを手伝ってほしいとお願いされ、その瞬間から、兄妹の関係が始まった。
妹は泣き虫で、根性がなくて、友達もいない。
放っておけない存在だった。
それから何年も経ち、二人は成長し、大人になっていく。
だが、兄妹の関係は変わらなかった。
「わたしのじんせーは、にーさんでほとんどだもん」
幼少期からの積み重ねと、大人になってからの選択。
この物語は、兄と妹が「一生をどう生きるか」を選ぶ話である。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

①偏見に縛られない生き方とは?
兄妹仲睦まじくなんていうありふれたそれが、なぜこうも追い詰めてくるのか。
ひょっとすると、俺たちより環境のほうが間違っているのかもしれない。
入間人間(著)いもーとらいふ より引用
この物語を読んでいると、社会の「偏見」というものについて考えざるを得ません。
なぜ、「家族を愛する」ということに線引きがあるのか?
なぜ、兄妹がお互いを特別に想うことが許されないのか?
世間には、様々な愛があります。
- 配偶者を愛する → OK
- 親を愛する → OK
- 子供を愛する → OK
- 兄妹を愛する → NG?
この矛盾に、主人公の兄は違和感を抱きます。
そして、それを受け入れながらも、自分の生き方を貫こうとするのです。
確かに、生物学的な視点から見れば、近親間の恋愛には忌避感が生じるのが普通です。
しかし、単なる「家族愛」すらも偏見の目で見られるのは、社会の価値観の押しつけにすぎないのではないのでしょうか。
本来、人がどう生きようと自由なはずですから。
しかし、社会の「こうあるべき」という先入観が、それを許しません。
偏見に囚われずに生きることは、簡単なことではありません。
でも、『いもーとらいふ』を読んでいると、「自分の生き方を決めるのは、自分であるべきだ」と強く思います。
俺たちの関係は想いは、傍から見て粘つき、とても気味悪いものなのだろう。
しかし人間関係に求めるの濃度は相手によって変わって当然。
俺たちはそういうのがいい。
これくらいで、いいのだ。
入間人間(著)いもーとらいふ より引用
②不器用すぎる兄妹の生き方
標準的な価値観とやらに基づいて構築された社会で、妹と共に生きるというのは軽いものではない。
むしろかなり重たい。
だから他の色々なものを捨てていかないと、歩いていけない。
入間人間(著)いもーとらいふ より引用
本作『いもーとらいふ』の兄妹は、とにかく不器用です。
- 兄は、妹を最優先に考え、他の人間関係をほとんど切り捨ててしまう。
- 妹もまた、兄にすべてを委ねるような生き方を選ぶ。
本来、人間関係はバランスが大切です。
仕事に全力を注ぎながらも、家庭を大事にする人はいます。
恋人を愛しながらも、友人を大切にする人も、もちろんいます。
だが、この兄妹は、そうした「両立」をしない。
たった一つのものにすべてを注ぎ込み、それ以外を切り捨てる。
普通に考えれば、とても不自由で、視野の狭い生き方です。
しかし、彼らはそれを「自由」だと感じているようにも思えます。
「何を捨て、何を選ぶか」――
その覚悟の強さこそが、彼らの生き方なのでしょう。
一番欲しいもの以外を熱心に集めている余裕はない。
気が散ると、意欲が減るかも知れないというのも怖い。
入間人間(著)いもーとらいふ より引用
なぜこの作品がオススメなのか

- 社会の常識にとらわれない生き方を考えさせられる
- 偏見とは何か、自分の価値観を見つめ直すきっかけになる
- 哲学的な問いかけが多く、深く考えさせられる
- 兄妹の生き方に対して、共感と違和感の両方を抱くのが面白い
「世間的にはこう言われるけど、本当にそうなのか?」
そういった疑問を持っている人には、ぜひ読んでほしいです。
総評・まとめ

『いもーとらいふ』は、ただの兄妹ラブコメではありません。
偏見、常識、不器用さ、そして「自分が何を選ぶか」。
そうした人生の本質に深く切り込んでくる作品です。
決して万人向けではありませんが、一度ハマると忘れられない物語になるはずです。
『いもーとらいふ』のオススメ度は⭐4です!
完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

独特な作風ゆえ、人を選ぶと思います。
(私はむちゃくちゃ好きですが!)

上巻の哲学的な問いかけは満点レベルの面白さだね。
下巻の展開は賛否が分かれそうだけど。
こんな人にオススメ
- 世間の常識に疑問を持ったことがある人
- 偏見に振り回されずに生きたいと思う人
- 不器用でも、自分の選んだ道を貫く覚悟を持ちたい人
- 哲学的な問いを楽しめる人
この作品は、読者の「人生観」を揺さぶります。
だからこそ、一度読んでみてほしいです。
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