普段何気なく使っている日本語ですが、よく考えてみると不思議なことがたくさんあります。
たとえば「カテー」という言葉を聞いたとき、それが「家庭」なのか「仮定」なのか「課程」なのか、私たちは自然と文脈から判断しています。
しかし、これって本当に当たり前のことなのでしょうか?
『漢字と日本人』は、こうした日本語の不思議さや、漢字が日本語に与えた影響について深く掘り下げる一冊です。
本書を読むと、日本語が持つ独特の構造や歴史、そして文化的背景が見えてきます。
言葉の面白さに興味がある人にとって、知的好奇心をくすぐること間違いなしの一冊です。
作品概要

作品名 | 漢字と日本人 |
著 者 | 高島俊男 |
ジャンル | 語学、エッセイ |
発行日 | 2001年10月19日 |
ページ数 | 212ページ |
本書は、日本語と漢字の関係を歴史的視点から探る一冊です。
日本語の根幹にある「同音異義語」の問題や、なぜ日本語において漢字がここまで重要な役割を担うようになったのかといったテーマを掘り下げています。
著者の高島俊男氏は、中国文学や言語学の専門家であり、その豊富な知識をもとに、日本語の成り立ちと漢字の役割を鋭く分析しています。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

しかし、音声が無力であるためにことばが文字のうらづけをまたなければ意味を持ち得ない、という点に着目すれば、日本語は、世界でおそらくただ一つの、きわめて特殊な言語である。
高島俊男(著)漢字と日本人 より引用
①日本語の特徴──同音異義語の多さ
日本語には「かわ(川・皮・革)」や「あう(会う・合う・遭う)」など、同じ発音でも異なる意味を持つ言葉が非常に多いのが特徴です。これは、もともと日本語が音声中心の言語であったため、意味を区別する手段として漢字が必要になったからです。
特に、音だけでは伝わりにくい言葉が多いため、日本人は無意識のうちに「漢字を想像しながら話している」というのは本書の中でも特に印象的な指摘でした。
②漢字の違和感──中国との違い
「手紙」という言葉は日本では「メッセージ」という意味合いで使用しますが、中国語では「トイレットペーパー」を意味します。
また、「勉強」という言葉も、日本語では「学ぶ」という意味ですが、中国語では「無理やりやらされる」というニュアンスが強いのです。
こうした違いを知ると、日本の漢字文化が単なる輸入品ではなく、日本人の暮らしの中で独自に発展してきたものであることが実感できます。
③漢字は偉くない──権威と文字
日本では、難しい漢字を使うことが知的な証のように思われがちですが、本来の目的は「伝えること」です。
明治時代以降、西洋文化を取り入れる中で、翻訳語としての漢字表現が増え、学術的な文章や役所の文書はどんどん難解になっていきました。
しかし、言葉は「相手に伝わること」が最優先のはず。難解な表現が知的とは限らない。
むしろ簡潔で分かりやすい言葉こそが優れた表現なのではないか?
そんな視点を持つきっかけにもなる本でした。
なぜこの作品がオススメなのか

①日本語の成り立ちを分かりやすく解説
本書の魅力は、日本語の成り立ちを歴史的視点から分かりやすく解説している点にあります。
漢字が単なる表記の手段ではなく、日本語の思考プロセスそのものに深く関わっていることが理解できます。
②日本語の奥深さが知れる
また、言葉の変遷を知ることで、私たちが普段何気なく使っている言葉にも歴史があり、文化が反映されていることに気づかされます。
日本語の奥深さを知りたい人にはぴったりの一冊です。
総評・まとめ

「み力」では意味がわからないから、「魅」の字がなくなれば事実上「魅力」ということばがなくなるわけである。
高島俊男(著)漢字と日本人 より引用
言葉は文化です。
『漢字と日本人』は、日本語の成り立ちと漢字の役割を探る一冊で、言葉の歴史や文化に興味がある人にとっては非常に面白い内容だと思います。
ただし、決して「すらすら読める本」ではありません。
専門的な内容が多く、じっくり時間をかけて読む必要があります。
そのため、気軽に読めるエッセイというよりは、ある程度腰を据えて向き合う本という印象でした。
『漢字と日本人』のオススメ度は⭐3です!
難しいですが、とても興味深い作品でもあります。
気軽に読めるわけではありませんが、日本語に興味がある人にはオススメです。

言葉に興味がある人には非常に魅力的で、分かりやすくはあるのですが、一気に読むのは難しいです。

読むのに時間がかかるので、毎日少しずつ読み進めるのがオススメ!
こんな人にオススメ

- 日本語や漢字の歴史に興味がある人
- 言葉の奥深さを知りたい人
- 知的好奇心が旺盛な人
- 普段から読書が好きで、じっくり考えるのが好きな人
言葉に関心がある人なら楽しめる一冊ですが、あまり興味がない人には少しとっつきにくいかもしれません。
しかし歴史や言語に関する知識を深めたい方はとてもオススメです。
ぜひ手に取ってみてください。
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