子どもの頃に見ていた世界と、大人になって見える世界は、まるで違う。
あの頃の純粋な気持ち、ちょっとした冒険のワクワク、出会いと別れの切なさ。
そんな記憶を呼び覚ましてくれる物語が『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』です。
本作の著者である万城目学さんといえば、ユーモアたっぷりの作品が多いですが、本作はそこに温かな郷愁と哲学的な深みが加わっています。
大人になった今だからこそ、この物語が刺さるポイントを深掘りしつつ、本作のおすすめポイントを紹介していきます。
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

作品名 | かのこちゃんとマドレーヌ夫人 |
著者 | 万城目学 |
ジャンル | 日本文芸 |
発行日 | 2013年1月25日 |
ページ数 | 182ページ |
読み終えるまでの目安 | 2時間42分 |
主人公は小学1年生の女の子・かのこちゃん。
彼女の家には年老いた柴犬・玄三郎がおり、そこにある日アカトラ猫・マドレーヌ夫人がやってきます。
ゲリラ豪雨をきっかけに、彼らの小さな世界に変化が訪れます。
この物語は、かのこちゃんの元気いっぱいの成長、マドレーヌ夫人の冒険、そして誰もが経験する「出会い」と「別れ」を描いています。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

本作には、人生のさまざまな教訓がちりばめられています。
そのなかでも特にに響くポイントを3つ挙げます。
①子ども時代の純粋な好奇心と冒険心
かのこちゃんは、まっすぐで天真爛漫。
その姿に、「あの頃の自分は、こんな風に世界を見ていたのかもしれない」と懐かしさを感じるはずです。
②動物たちの哲学的な視点
マドレーヌ夫人や玄三郎は、ただの動物ではありません。
彼らの視点から語られる世界には、人生の真理が隠されているようでした。
「別れは悲しいものだが、必ずしも絶望ではない」というメッセージは、読者の心にじんわりと染み渡ります。
③出会いと別れの避けられない運命
人生には「別れ」がつきもの。
大人になればなるほど、その意味を深く理解するものです。
本作では、子ども目線で描かれる「別れ」だからこそ、大人が読むとグッとくると感じました。
なぜこの作品がオススメなのか

①万城目学の新たな一面
万城目学さんの作品といえば、コミカルでクセのある登場人物が魅力。
しかし本作は、いつものユーモアに加えて、どこか詩的で静かな余韻が残ります。
この新しい作風が、「大人向けの児童文学」として秀逸だと思います。
②読みやすいが深い
182ページとコンパクトながら、読後には「人生とは何か」を考えさせられます。
短時間で読めますが、心には長く残る作品なのです。
③動物好きにはたまらない
本作は犬と猫が重要なキャラクターとして登場します。
そのため、動物好きならば彼らのやりとりにほっこりすること間違いありません。
総評・まとめ

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は、子ども時代の記憶を呼び覚ましつつ、大人になった自分だからこそ共感できる物語。
動物たちの視点を通して、人生の教訓を優しく語りかけてくれます。
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』のオススメ度は⭐4 です!
完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

温かみのある文章とやさしい世界観が魅力の作品です。
少しファンタジー要素もあって、こうだったらいいのにという理想的な世界に感じました。

マイナスポイントは、特に派手な展開がないこと。
刺激的な物語を求める人には少し物足りなく感じるかもしれないね。
こんな人にオススメ

- 子ども時代を懐かしく感じたい人
- 犬や猫が好きな人
- 短時間で読めるけれど、深みのある本を探している人
この本を読むと、ふと子どもの頃の自分を思い出しました。
そして、人生の「出会い」と「別れ」について、優しく考えさせてくれます。
興味が湧いたなら、ぜひ手に取ってみてほしいです。
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