電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited」は、本好きにとって夢のようなサービスです。
月額980円(税込)で、和書・洋書・マンガ・雑誌など、数多くのジャンルの本が読み放題になるという仕組み。
紙の本では手が出しづらい作品にも気軽に挑戦できるのが魅力です。
ただし、Kindle Unlimitedのラインナップは定期的に更新されるため、「今は読み放題だけど、来月には対象外になっている……」ということも少なくありません。
特に、シリーズ作品を途中まで読んでから対象外になってしまうと、続きが気になって仕方がなくなってしまいますよね。
そこで今回の特集では、「完結済みシリーズ」かつ「全巻が現在読み放題対象」になっている小説を厳選してご紹介します。
どれも筆者が実際に読んで面白いと感じたものばかりで、ジャンルもファンタジー・ホラー・青春・ミステリーなど多岐にわたります。
2025年5月現在、以下の5シリーズはすべてKindle Unlimitedで全巻読める状態になっています。
しかし、来月以降には対象外になる可能性もあるため、少しでも興味を持ったら「とりあえずダウンロード」しておくのがオススメです。
それでは、各作品の魅力や読みどころを1作品ずつ紹介していきます!
『火狩りの王』日向理恵子
◆ 作品概要
『火狩りの王』は、日向理恵子による全5巻(本編4巻+外伝1巻)のポストアポカリプス・ファンタジー小説です。
舞台は「人が火を使えなくなった未来の世界」。
火を操ると“発火病”で死んでしまうという特殊な環境の中、人々は「火狩り」と呼ばれる特殊な存在に頼って生きています。
本作は、過酷な環境で生き抜く人々の姿や、少年と少女の成長を軸に、人間の在り方や文明の意味を問いかける重厚なストーリーが魅力です。
2023年、2024年にはアニメ化されたことでも話題になりました。
◆ 読みどころ

圧倒的な世界観構築力
この作品の大きな魅力は、何といっても緻密に作りこまれた世界観です。
「火を使えない」という一見ファンタジー的な設定を、極めてリアルな生活描写と結びつけ、まるで本当に存在するかのような社会構造を描き出しています。
「火狩り」という設定も独創的で、火種を採るために命をかけて森へ入る者たちは、まさに“この世界の英雄”。彼らの姿は美しく、同時に儚く描かれています。
主人公たちの成長と希望
物語の中心となるのは、少女・灯子と少年・煌四のふたり。それぞれ異なる背景を持つ彼らが、旅の中で出会い、やがて自らの運命を受け入れながら成長していきます。
絶望に満ちた世界の中で、人と人が支え合い、希望を見出す姿には胸を打たれます。
読後には、どこかあたたかい余韻が残るはずです。
◆ 本編4巻+外伝で完結
本作は全5巻で完結しており、比較的短めのシリーズです。
文体は割と読みやすいですが、展開はゆっくりで、サクサク読み進められる感じではありません。
しかしその分、心情描写はとても丁寧で、設定も細かく説明されるため、読み応えは抜群。
外伝では本編では描かれなかった背景や、登場人物たちの「その後」が補完されており、満足度の高い読後感を得られます。
◆ Kindle Unlimitedで読むポイント
2025年5月現在、全5巻すべてがKindle Unlimitedで読み放題対象となっています。
アニメ版を見たことがある方も、未視聴の方も、この機会にぜひ原作でじっくりと物語を味わってみてください。
『闇狩り師』夢枕獏
◆ 作品概要
『闇狩り師』は、『陰陽師』シリーズや『餓狼伝』シリーズなどで知られる作家・夢枕獏が描く、現代を舞台にしたオカルトアクション小説です。
全6巻構成で、超常現象と人間の内面に深く切り込む作品となっています。
物語の主人公は「九十九乱蔵」という異能の男。
彼は、人間の欲や業が呼び出す“闇の存在”と戦う「闇狩り師」として、日常に潜む異界の脅威と対峙していきます。
◆ 読みどころ

現代×異界の絶妙な融合
本作の魅力の一つは、現代社会の中に違和感なく組み込まれた“異界”の存在感です。
コンビニ、マンション、警察――誰もが知る日常の風景の中で、突如として現れる妖(あやかし)や異形の存在。
それらに対して、主人公・乱蔵が淡々と、しかし圧倒的な力で立ち向かう様は、まるで伝説の陰陽師が現代に蘇ったかのよう。
夢枕獏ならではの、哲学的・宗教的な問いを含んだ描写も深みを与えており、「ただのバトルもの」では終わらない重厚さがあります。
圧倒的筆致のバトル描写
夢枕作品の真骨頂といえるのが、戦闘シーンの“迫力”と“美しさ”。
九十九乱蔵の使う技、霊的存在の不気味さ、空間の歪みや闇の広がり――
すべてが言葉だけで描かれているとは思えない臨場感を持っています。
アクション好き、ホラー好き、妖怪ものが好きという方にとってはたまらない内容となっており、巻を追うごとにスケールも広がっていきます。
◆ 全6巻で完結
『闇狩り師』は全6巻で完結しています。
1巻ごとに完結するエピソードが多いため、途中で中断しやすく、忙しい人にもおすすめです。
また、徐々に明らかになる主人公の過去や異界の秘密など、シリーズ全体を通しての伏線回収もあり、最後まで飽きずに読み切れます。
◆ Kindle Unlimitedで読むポイント
2025年5月現在、全6巻すべてがKindle Unlimitedの読み放題対象です。
夢枕獏作品をまだ読んだことがない方にも、導入としてちょうど良いシリーズです。
この機会に、現代と異界が交錯する重厚な物語の世界へ、ぜひ足を踏み入れてみてください。
『ハリー・ポッター』J・K・ローリング
◆ 作品概要
言わずと知れた世界的ベストセラー、『ハリー・ポッター』シリーズ。
1997年に第1巻『賢者の石』がイギリスで刊行されて以来、世界中で熱狂的なファンを生み出し、日本でも映画化をきっかけに爆発的な人気を博しました。
シリーズは全7巻構成で、主人公・ハリー・ポッターが魔法学校ホグワーツに入学し、仲間たちと出会い、強大な敵“ヴォルデモート卿”との戦いに挑むまでを描いた壮大なファンタジー作品です。
◆ 読みどころ

成長物語としての完成度
『ハリー・ポッター』は、単なる魔法ファンタジーではありません。
ハリーが11歳で魔法界に足を踏み入れ、17歳でその運命に決着をつけるまでの7年間は、そのまま少年の成長の軌跡でもあります。
親友ロンやハーマイオニーとの友情、教師や敵との関係、初恋や喪失――
読者自身の人生と重ねながら読み進めることができます。
特に巻を追うごとに物語のトーンが少しずつ“重く”なり、少年向けから本格的な戦記ファンタジーへと移行していく構成は見事。
大人になってから読み返しても、新たな発見があるのも魅力です。
魔法世界の緻密な作り込み
ホグワーツ魔法魔術学校をはじめ、魔法省、魔法動物、呪文や薬草学など――
細部まで徹底的に構築された魔法世界の設定も、本作の大きな魅力の一つです。
読者は、ただ物語を追うだけでなく、まるで自分自身が魔法界に“転校”したかのような没入感を得ることができます。
「組み分け帽子でどの寮になるか?」など、ファン同士の共通言語も豊富で、世界観に参加する楽しみも大きいシリーズです。
◆ 全7巻で完結
『ハリー・ポッター』シリーズは全7巻で構成されており、1冊ごとのボリュームもかなりのもの。
最終巻に至るまで物語のスケールがどんどん大きくなり、戦いの舞台もホグワーツから魔法界全体へと広がっていきます。
それぞれの巻が1つの学年を描いており、読者もまるで一緒に7年間を過ごすような没入体験が可能です。
また、各巻ごとにメインとなる謎や事件が用意されているため、ミステリー的な要素も楽しめます。
7巻という長さは一見ハードルが高そうに思えるかもしれませんが、物語のテンポが良く、キャラクターたちの成長や人間関係の変化をじっくり追えるため、読後の満足感は圧倒的です。
“長編を読み切った達成感”を味わいたい方にぴったりのシリーズです。
◆ Kindle Unlimitedで読むポイント
2025年5月現在、シリーズ全7巻がKindle Unlimitedで読み放題対象となっています。
これは非常に珍しい機会です。
普段は1〜2巻のみが対象だったり、シリーズが一時的に外れていたりすることが多いため、全巻対象はかなり“お得なタイミング”といえるはず。
また、日本語版と英語版の両方が利用可能なので、英語学習を目的に再読するのもおすすめです。
「昔、読んだことがあるから今さら……」と思っている方も、久しぶりに読み返すと、子どもの頃には気づかなかった深いテーマや伏線に気づくはずです。
世界中の大人が今なお“魔法界”を愛してやまないのは、それだけこの作品が普遍的なメッセージを持っているからこそ。今こそ、ホグワーツの扉を再び開いてみてはいかがでしょうか?
『デュラララ!!』成田良悟
◆ 作品概要
『デュラララ!!』は、成田良悟によるライトノベルシリーズで、全13巻で完結した群像劇型の現代ファンタジーです。
舞台は東京・池袋。
一見すると普通の都市ですが、そこには首のないライダー・セルティや、都市伝説、非合法組織、そして“非日常”を愛する少年など、奇妙な存在が数多く蠢いています。
物語は、複数のキャラクターの視点が次々に切り替わりながら進行するスタイルで、登場人物たちの物語が絶妙に絡み合い、やがて一つの大きな事件へと収束していきます。
◆ 読みどころ

画像出典:Amazon.co.jp『デュラララ!!』
クセ者ぞろいのキャラクターたち
本作の魅力はなんといっても登場人物たちのキャラ立ちです。
主人公格である竜ヶ峰帝人は、一見地味な転校生ですが、物語が進むにつれて思わぬ一面を見せます。
その他にも、情報屋の折原臨也、最強の喧嘩屋・平和島静雄、首なしライダーのセルティなど、強烈で個性的な面々が勢ぞろい。
それぞれが主役になれるレベルでドラマを持っており、誰を推すかによって読後の印象がガラリと変わるのも、この作品ならではの面白さです。
群像劇ならではの“伏線回収”の快感
一つの事件が、別々の人物の視点で何度も語られ、それぞれの思惑が交錯していく構造は、パズルのピースを一つずつ埋めていくような快感があります。
「あのときのあの行動が、実はこの人物に繋がっていたのか!」という発見が次々と現れ、最後には複雑に絡み合った糸が見事に解かれていく構成力は圧巻。
特にシリーズ中盤以降は、複数の陣営が入り乱れるため、一度読み始めるとページをめくる手が止まらなくなります。
◆ 全13巻で本編完結
『デュラララ!!』は全13巻で本編完結しています。
さらに外伝と続編として『デュラララ!!SH』も存在しこちらも既刊4巻すべて読み放題対象です。
巻数はやや多めですが、1巻ごとに事件が進展していくためテンポはよく、気づけば一気に読んでしまうタイプのシリーズです。
アニメ化もされており、先にアニメで観た方でも原作を読むと、描写の細かさやキャラクターの内面がより深く伝わってくることでしょう。
◆ Kindle Unlimitedで読むポイント
2025年5月現在、本編全13巻(+外伝1巻+続編4巻)がすべてKindle Unlimitedの読み放題対象となっています。
長編シリーズがまとめて読み放題に入っているタイミングはなかなか珍しいので、今がまさに“全巻一気読み”のチャンスです。
特に、群像劇やサスペンスが好きな方、キャラ同士の掛け合いや人間関係を楽しみたい方には強くおすすめできる作品です。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』入間人間

◆ 作品概要
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、入間人間が描く歪んだ愛と狂気に満ちた青春ミステリーです。
全12巻(本編11巻+短編集1巻)で構成されており、ミステリー、恋愛、心理描写が絶妙に絡み合った異色のライトノベルとして、高い評価を受けています。
主人公の“みーくん”と、ヒロインである“まーちゃん”の2人は、過去に誘拐監禁事件の被害者となったトラウマを抱えながら、奇妙な関係性を築いていきます。
◆ 読みどころ
不安定な語り手による“嘘”のミステリー
タイトルにある通り、“みーくん”は嘘つきです。
そして物語は、基本的に彼の一人称視点で語られます。
そのため、読者は常に「これは本当なのか?」「どこまでが事実なのか?」という疑念を抱えながら読み進めることになります。
この手法により、物語全体が一種のトリックとして機能し、読者の予想や常識を覆すような展開が随所に待ち受けています。
「信じられない語り手」というミステリーの技法をここまで効果的に使った作品は、非常に稀です。
壊れたふたりの切なさと狂気
“まーちゃん”は、トラウマの影響からか非常に不安定な精神状態にあり、時に暴力的な言動や破壊的な行動に出ます。
それを“みーくん”は受け止め、時には嘘をつきながらも彼女を守ろうとします。
この2人の関係は、決して健全ではありません。むしろ「共依存」と言っても過言ではない危うさを孕んでいます。
それでも、彼らなりの絆や優しさが感じられるからこそ、読者の心に深く刺さるのです。
“壊れているけど、確かに愛がある”――
そんな複雑な感情を見事に描ききった作品です。
◆ 全12巻で完結
本編は全11巻で完結しており、さらに短編集(第12巻)でキャラクターの補足や番外編が収録されています。
1巻ごとにミステリーとしての事件が用意されており、読みごたえは抜群。
それでいて、全体を通じて語られる「2人の物語」が徐々に明らかになる構成も見事です。
特に終盤では、みーくんが抱えていた“ある秘密”が明かされ、すべての嘘と真実が一気に繋がる快感があります。
◆ Kindle Unlimitedで読むポイント
2025年5月現在、全12巻がKindle Unlimitedで読み放題対象です。
一般的なライトノベルとは一線を画すシリアスな内容と重層的な物語構成で、心理ミステリーが好きな方、心に残る読書体験を求めている方には特におすすめです。
📚 まとめ
ここまで、5つのシリーズをご紹介させていただきましたが、もう一度ご紹介した作品をおさらいします。
日向理恵子『火狩りの王』
ポストアポカリプス・ファンタジー
全5巻(本編4巻+外伝)
夢枕獏『闇狩り師』
現代を舞台にしたオカルトアクション
全6巻
J・K・ローリング『ハリー・ポッター』
言わずと知れた世界的ベストセラー
全7巻
成田良悟『デュラララ!!』
群像劇型の現代ファンタジー
全13巻
入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』
歪んだ愛と狂気に満ちた青春ミステリー
全12巻(本編11巻+短編1巻)
さいごに
今回ご紹介した5シリーズは、いずれも「完結済み」かつ「全巻Kindle Unlimitedで読み放題対象(2025年5月時点)」という貴重な条件を満たす作品です。
ジャンルも作風も異なりますが、それぞれに強烈な個性と読み応えがあり、気になる1冊からでも気軽に読み始めることができます。
ただし、Kindle Unlimitedの対象作品は月ごとに入れ替わるため、今読めても来月には対象外になってしまうことがあります。
ちょっとでも「読みたいかも」と思ったら、まずは端末にダウンロードしておくのがおすすめです。

来月以降も、テーマやジャンルを変えてKindle Unlimitedのおすすめ小説をシリーズで紹介していく予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。

それでは、素敵な読書ライフを😊
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