「あなたの心にも、モノノ怪は棲んでいるかもしれない――」
そんなことを思わされる一冊、『モノノ怪 執』。
アニメ『モノノ怪』が放送されてから15年。
その独特な世界観と哲学的なテーマは今もなお多くのファンに愛されています。
そして本作は、そのスピンオフ小説として登場しました。
果たして、紙の上であの独特のビジュアルや雰囲気は再現できているのか?
本記事では、小説『モノノ怪 執』の魅力と、読みどころ、そしてオススメ度について語っていきます。
作品概要

作品名 | モノノ怪 執 |
著 者 | 仁木英之 |
ジャンル | 時代小説、ホラーファンタジー |
発行日 | 2022年6月22日 |
ページ数 | 202ページ |
アニメ『モノノ怪』の世界観を踏襲したスピンオフ小説。
薬売りが様々な土地でモノノ怪と対峙し、「形」「真」「理」を暴き、その本質を明らかにしていく物語。
本作では、猪苗代湖畔に現れる幽霊の姫、妖狐に取り込まれたつくり花師、戦場に現れる獰猛な妖怪など、多様なモノノ怪との戦いが描かれる。
謎多き薬売りの旅は、紙の上でも読者を魅了するのか?
作品から学べる教訓・人生観(感想)

①モノノ怪の正体とは
本作を読んで感じたのは、「モノノ怪とは、化物ではなく人の心の闇が具現化したもの」ということ。
そして、薬売りはその闇に対抗する「人の中にある小さな希望や勇気の象徴」ではないかと考えました。
人間は愚かで弱い。
だからこそ、その愚かさや弱さがモノノ怪として形を持ち、我々を苦しめるのです。
②薬売りという存在
そして、それに立ち向かうのが薬売り――
つまりそれは、人間が持つほんのわずかな強さや希望です。
物語を通じて、「自分の中の闇とどう向き合うか」というテーマが浮かび上がってきます。
これは、どんな時代の人にも通じる普遍的な教訓ではないかと思います。
なぜこの作品がオススメなのか

本作の魅力は、何と言ってもアニメの雰囲気を忠実に再現している点です。
①アニメのビジュアルを想起させる美しい描写
色彩豊かだったアニメの雰囲気を文章で表現するのは至難の業。
しかし、本作では時代小説らしい文体と独特な言い回しを使い、見事にあの世界観を再構築しています。
②哲学的なテーマが深い
人間の業や欲望、弱さといったテーマが色濃く描かれ、読後に考えさせられます。
③ミステリー要素が面白い
「形」「真」「理」の3つを探りながら真相を解き明かしていくプロセスは、ミステリーとしても秀逸。
総評・まとめ

『モノノ怪 執』は、アニメの世界観を文章で見事に再現した一冊です。
しかし、文章の難しさや時代小説特有の言い回しがあるため、気軽に楽しめる作品ではありません。
ただし、その分読み応えは十分。
人の心の闇や業を浮き彫りにし、それにどう向き合うかを考えさせられる内容となっています。
「自分の内面を深く掘り下げたい」「哲学的なテーマの作品が好き」という人には、ぜひオススメしたいです。
『モノノ怪 執』のオススメ度は⭐2です!
独特な魅力があるが、好みが分かれる作品。
刺さる人には刺さるはず!

完成度は高いけれど、読むのにエネルギーがいる作品といった感じです。

アニメ版モノノ怪ファンや時代小説好き以外には少し敷居が高いかもしれないね。
こんな人にオススメ

- アニメ『モノノ怪』が好きな人
- 時代小説の雰囲気が好きな人
- 人間の業や哲学的なテーマを掘り下げたい人
『モノノ怪 執』は、決して気軽に手を出せる作品ではありません。
しかし、だからこそ読んだ後に得られるものが大きいとも言えます。
気になる人は、ぜひこの世界に足を踏み入れてみてほしいです。
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