「もし、あなたの見ている世界が他人とまったく違うものだったらどうしますか?」
そんな疑問に正面から挑むSF小説『紫色のクオリア』は、哲学的な問いかけとSFのエッセンスを組み合わせた魅力的な作品です。
読むたびに新たな発見があり、単なるエンターテインメントにとどまらない奥深さが詰まっています。
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

作品名 | 紫色のクオリア |
著 者 | うえお久光 |
ジャンル | ライトノベル (SF) |
発行日 | 2015年12月17日 |
ページ数 | 304ページ |
『紫色のクオリア』は、SFと哲学の要素を組み合わせた作品であり、短編2編と中編1編、さらにエピローグ的な短編で構成されています。
主人公は中学生の波濤学(はとう まなぶ)と毬井ゆかり(まりい ゆかり)。
ゆかりは「自分以外の人間がロボットに見える」という特殊な感覚を持ち、学はその奇妙な感覚に興味を抱きつつも、彼女の特異性と向き合います。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

哲学的問いかけ
『紫色のクオリア』は「クオリア」という哲学的な概念をテーマにしています。
クオリアとは、「赤色が赤く見える感覚」や「痛みを痛いと感じる感覚」など、他人と共有できない主観的な体験のこと。
作中でゆかりが「人間がロボットに見える」と語ることは、このクオリアの一種と言えるでしょう。
作中で語られる「他者理解の難しさ」は、私たちの日常にも重なります。
自分の感じる「痛み」や「喜び」を完全に他者に伝えることはできません。
それでも私たちは「共有している」と信じる。
そのズレをどう埋め、他者と関わるか。
ゆかりの孤独と学の葛藤は、その問いかけを読者に投げかけます。
なぜこの作品がオススメなのか

①SF的設定の中にリアルな人間的要素がある
『紫色のクオリア』が特に魅力的なのは、SF的な設定の中にリアルな人間関係の悩みや葛藤が描かれている点です。
ゆかりの「ロボットに見える」という感覚は突飛な設定に思えますが、その本質は「他者理解の難しさ」や「自己の存在の不確かさ」です。
②SF的設定をベースに不変的テーマを掘り下げる
また、中編『1/1,000,000,000のキス』では「過去を変える」というSF的なテーマに挑みますが、これもまた「人生の選択」という普遍的なテーマに通じています。
「もし、過去を変えられたら」という幻想と、そこから生じる葛藤や後悔。
未来を変えることは可能でも、過去を変えることはできないという現実は、現代社会で自己成長や変化を望む人々にも響くテーマです。
総評・まとめ

『紫色のクオリア』は、SFとしての面白さと哲学的な思索が同居する作品です。
難解な部分もありますが、主人公たちの成長や葛藤が親しみやすく描かれているため、SF初心者でも楽しめます。
とはいえ、哲学やクオリアに詳しい方であれば、さらに深い考察ができる奥深い作品でもあると感じました。
『紫色のクオリア』のオススメ度は⭐4です!
完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。

SFの設定は緻密で魅力的であり、哲学的なテーマも興味深いです。

SFに慣れていない方には少し難解な部分もあるから、万人向けというより「考えることが好きな人」に向いている作品かもね。
こんな人にオススメ

- SFに興味はあるけれど、難しそうで手が出せなかった人
- 哲学的なテーマや「クオリア」に興味がある人
- 自分と他人の認識の違いに敏感な方
- 「人生の選択」や「自己の存在」について考えるのが好きな人
- 他者との関わり方に悩むことがある人
『紫色のクオリア』は一読すると難解に感じる部分もありますが、その裏には普遍的なテーマが潜んでいます。
自分の見ている世界と他者の見ている世界の違い、それをどのように受け入れるかという課題は、誰しもが経験するもの。
この作品を通じて、少しでもその答えに近づければ、読んだ価値は大いにあるはずです。
コメント