☆SF設定×推理作品
「高校生らしくない高校生が、何度も同じ一日を生きる。」
そう聞くと、不思議な物語を想像するかもしれません。
『七回死んだ男』は、SFとミステリーを絶妙に組み合わせ、繰り返される時間の中で真相を追うユニークな作品です。

作品概要
『七回死んだ男』は西澤保彦氏による小説です。
1995年に発売され、2017年には新装版が発売されています。
高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。
資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。
祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすが――
鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔!
『新装版 七回死んだ男』(西澤 保彦):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部 より引用
感想
タイムリープ要素を巧みに取り入れたミステリーで、何度も繰り返される「同じ一日」の中で真相を追う展開は独特でとても楽しめました。
SF的要素の使い方がうまい
『七回死んだ男』は、タイムリープという設定を使いながら、シリアスになりすぎず、むしろコミカルな雰囲気を保っているのが独特で面白いです。
主人公が何度も同じ一日を繰り返すことで、行動がどんどん大胆になっていく様子にはクスりとさせられましたね。
厳密な計算ではないが平均すれば月に三、四回は起こっているのではないかと思う。
一回につき”決定版”を除いた八周ずつ。
まり主観的に八日間も他の者たちより余分な時間を過ごしていることなる。
合算する一ヵ月の間に約一ヵ間もの余分な時間を僕は過ごしていることになる。
つまり肉体年齢のほぼ二倍。
西澤保彦(著)七回死んだ男 より引用
主人公の久太郎は高校生とは思えないほど冷静で、まるで達観しているような落ち着きがあります。
でも、彼の「体質」を考えると、それも納得できます。
同じ一日を何度も繰り返す経験を重ねることで、驚きや焦りといった感情が薄れてしまい、むしろ淡々と物事を受け入れるようになったようでしたから。
普通の人が一度しか経験しない出来事を、彼は何度も繰り返すわけですから、その分「時間」の感覚が他の人とは違っていても不思議ではないですし……。
そう考えると、久太郎の性格や行動も、ただの「冷静な高校生」ではなく、彼の特異な境遇の結果なんだと納得できます。
あとがき的なものとオススメ度
長く読み継がれる作品には、それだけの魅力や普遍的な面白さがあることを改めて感じました。
『七回死んだ男』は、SF要素がメインではなく、あくまで物語を面白くするための仕掛けとして機能しているのが絶妙だと思います。
タイムリープという設定自体は決して珍しいものではありませんが、それをミステリーと組み合わせたことで、新鮮な面白さが生まれているんですよね。
また、人が死ぬミステリーが苦手な人でも楽しめるというがとても良いポイントです。
本作は殺人事件が扱われていても、残酷さや重苦しさが前面に出ることはなく、むしろ知的なパズルを解く感覚に近い印象があります。
そういう意味では、普段あまり本格ミステリーを読まない人や、重たい話が苦手な人にもオススメしやすい作品ですね

単純な設定ですが、予想外の連発で楽しめました!

タイトルに反してコメディチックな雰囲気もあってよかったね。
『七回死んだ男』のオススメ度は★3.0です!(満点が★5.0です)
SF的設定によって、雰囲気が暗くなりすぎるのを防いでいる印象があります。
普段あまり本格ミステリーを読まない人や、重たい話が苦手な人にもオススメできる作品です。
こんな人にオススメ
・設定が面白い小説が読みたい
・重すぎないミステリが読みたい


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