あなたの「正義」は本当に正しいですか?
正義感が強いことは、必ずしも良いことばかりではありません。信じた道をひた走るうちに、いつの間にか道を踏み外してしまう――
そんな恐ろしさを描いた映画が、今回ご紹介する『日本で一番悪い奴ら』です。
この作品、単なる警察モノと思って観ると、そのリアルすぎる転落劇に背筋が寒くなるかもしれません。
警察官が、裏社会と手を組み、法を無視して「成果」を追い求める――
そんな信じられない実話を元にした映画です。
社会派の作品としても、エンタメ映画としても見応え抜群。
綾野剛さんの怪演も光る一本、ぜひチェックしてみてください。
オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。
作品概要

作品名 | 日本で一番悪い奴ら |
監 督 | 白石和彌 |
主 演 | 綾野剛 |
公 開 | 2016年 |
ジャンル | クライム、コメディ |
上映時間 | 134分 |
原 作 | 稲葉圭昭氏による小説 『恥さらし ―北海道警 悪徳刑事の告白―』 |
舞台は北海道警察。
柔道の腕前を買われ、刑事になった諸星要一(綾野剛)。
真面目で正義感に溢れる彼ですが、なかなか目立った成果を上げられず、くすぶる日々を送っていました。
そんな彼に先輩刑事の村井(ピエール瀧)が吹き込んだのが、「刑事は点数が命」という考え方。
点数=検挙数を稼ぐためには、裏社会に飛び込み、「S(スパイ)」を作れ――。
この教えを忠実に守った諸星は、次第に暴力団とも癒着し、道を踏み外していきます。
正義感から始まったはずの捜査は、いつしか犯罪そのものにすり替わり、やがて破滅への道を突き進むことになるのです。
作品から学べる教訓・人生観(感想)

①「正義感」が招く転落劇
この作品の最大のポイントは、「正義感の強さ」が諸星を破滅に導くという皮肉です。
彼は元々、悪事に手を染めるタイプではありませんでした。
むしろ、正義感が人一倍強い男だったんです。
でも、警察組織の「点数主義」に染まり、その「正義」の形が少しずつ歪んでいくのです。
「検挙数を上げること=正義」という極端な思い込みが、諸星の倫理感を壊していきます。
ここに、人間の怖さがあります。
最初はちょっとしたズルから。
でも「これは必要なこと」と自分に言い聞かせ続けるうちに、何が正しくて何が悪いのか分からなくなる。
そんなリアルな恐ろしさが、この映画には詰まっています。

出典:日本で一番悪い奴ら
②他人の視点を持つ大切さ
諸星の転落から学べるのは、「他人の目」を持つ大切さです。
自分の正しさを疑わない姿勢は、どんな立場の人にも身に覚えがあるはず。
仕事でも、家庭でも、「俺が正しい!」と突っ走る人ほど、周りが見えなくなりがちですよね。
他者の意見に耳を傾けること、自分の正義を一度疑ってみること。
その重要性を、諸星の破滅から痛感しました。

出典:日本で一番悪い奴ら
③正義感と柔軟性は両立できるのか
諸星はどこまでも真面目で、不器用で、だからこそ柔軟性を失っていきます。
正義感が強いのに、なぜ悪事に手を染めたのか?
その矛盾こそが、この映画の面白さであり、人間のリアルでもあります。
正義感は大事。
でも、それだけでは世の中を渡っていけません。
時には立ち止まって、「この正義は誰のため?」と自問自答することが、現代を生きる上で不可欠なんだと感じました。

出典:日本で一番悪い奴ら
なぜこの作品がオススメなのか

①白石和彌監督の手腕
白石和彌監督といえば、『孤狼の血』や『凶悪』といった、社会の闇をリアルに描く名手です。
『日本で一番悪い奴ら』でも、彼の持ち味である生々しい暴力描写や、善悪の境界線が揺らぐ演出が冴え渡っています。
『孤狼の血』は暴力団対警察の構図でしたが、今回は「警察内部の腐敗」がテーマ。
白石監督ならではの骨太なリアリティは健在です。
②綾野剛の怪演
本作では綾野剛さんの振り幅の広さにも驚かされます。
最初は純朴な刑事だった諸星が、次第にヤクザ以上のヤバさを滲ませていく――。
その変貌ぶりは見事としか言いようがありません。
特に、薬物に溺れる後半は鬼気迫るものがあり、まさに体当たりの演技。
インタビューでも「役が抜けるまで時間がかかった」と語っていたほど、魂を削って演じた役柄です。
③実話ベースの衝撃
原作は、北海道警の元刑事・稲葉圭昭氏の告白本。
実際に起きた事件を基にしているからこそ、「こんなこと、本当にあったの!?」と戦慄が走ります。
エンタメ作品として楽しめる一方で、現実の闇を突きつけられる重さも感じられます。
社会派映画好きには、ぜひ体感してほしい一作です。
総評・まとめ

『日本で一番悪い奴ら』は、正義感と組織論、そして人間の弱さを描いた問題作。
警察映画なのに、ヒーローは不在。
リアルだからこそ怖い、骨太な社会派エンタメです。
綾野剛の演技と白石和彌監督の手腕が見事に噛み合い、「エンタメ」と「社会派」の絶妙なバランスを実現。
観終わった後、きっと「正義とは何か?」を考えさせられるはずです。
『日本で一番悪い奴ら』のオススメ度は⭐3です!
特に強いクセはなく、気軽に楽しめる良作。
ただし、人によっては物足りなく感じることも。

だんだん変わっていく諸星の姿には、恐ろしさを感じました。

実話をベースにしたフィクションみたいだけど、本当にあったこととなんてにわかに信じがたいね。
こんな人にオススメ

- 社会派映画が好き
- 実話ベースのクライム作品に興味がある
- 綾野剛や白石和彌作品をチェックしている
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