森見登美彦(著)『シャーロック・ホームズの凱旋』感想

森見ワールドを堪能できるかどうかが鍵

スランプに陥った名探偵ホームズが挑むのは、絶対に解けない謎――

それを解決することはすなわち、探偵としての自分自身を否定することになるのです。

この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。

 

森見登美彦(著)シャーロック・ホームズの凱旋 プロローグより引用


作品概要

シャーロック・ホームズの凱旋がいせん』は森見登美彦もりみとみひこ氏による小説です。

2024年1月22日に発売されています。

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。

洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?

謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!

 

シャーロック・ホームズの凱旋 -森見登美彦 著|単行本|中央公論新社 より引用


感想

物語の舞台はヴィクトリア朝ロンドンならぬ「ヴィクトリア朝京都」もうその時点で森見氏らしさ全開です!

 

ワトソンが健気に助言しても詭弁で返すホームズ……

この二人のやり取りが、森見作品に登場するキャラクターたち特有の軽妙な掛け合いにしっくりハマっています。

 

また、森見作品に共通するような組織の名前もサービス的に登場していて、それを見たときはちょっとテンションが上がりましたね。

キャラクターの個性

本作でも森見氏が書く小説にありがちな強い個性のキャラクターが登場します。

阿保でダメな男性たちと強く美しい女性たちという組み合わせは、森見氏の小説を読んだことがある人には「それそれ!」と思わせる特徴です。

 

それに「ヴィクトリア朝京都」という舞台を想像すると、さらにその個性が際立つように感じます。

ホームズやワトソンというおなじみのキャラクターが、森見氏らしいキャラクター設定をまとって繰り広げる物語……

それだけでワクワクしましたね。

 

本作は、従来のホームズ譚とは違い、読者は「ホームズの推理を楽しむ」のではなく、「森見ワールド的な登場人物たちのやり取りを味わう」という感覚で楽しむべきだと感じました。

ちょっとしたファンタジー

ホームズが直面する「絶対に解けない謎」はファンタジー的でありながら、ホームズ自身のアイデンティティに直結している点は、単なるエンターテインメント以上の深みを感じさせます。

 

ホームズはスランプの原因になった事件について、謎は解けているけれども、それを認めることは探偵としての自分を否定してしまう――

この葛藤は、論理の権化とも言えるホームズが「森見ワールド」に迷い込んだからこそ起こり得るものですね。

超常現象が絡むことで、ホームズの「論理」と「真実」の境界線が揺さぶられるのは、森見氏の作品ならではのひねりとも言えそうです。

 

ホームズとがこの葛藤を抱えながら、どのように物語を進めていくのか、そしてそれをワトソンたちとどう解決するのか、それも『シャーロック・ホームズの凱旋』の大きな注目ポイントです。

森見氏らしい表現

小説を味わいながら読む時間は、私にとって特別な楽しみです。

森見氏の文章は、ただ物語を追うだけではなく、言葉選びや独特のリズム、ユーモアあふれる言い回し自体が「読む喜び」を与えてくれます。

その魅力を存分に味わうために、本作はいつも以上にじっくりと読み進めました。

 

森見氏の作品は、一文一文に彼の個性がぎゅっと詰まっているので、読み返しながら「ここが面白い!」と感じるポイントがたくさんあります。

本作も例外ではなく、その魅力が最大限発揮されていました。

ハマらない人にはつらいかも

 逆に言えば「森見氏の文章にハマらない人はあまり面白く感じないかも」とも感じました。

 

森見登美彦氏の文章の独特なリズムや表現が好きかどうかで、本作の評価は大きく変わりそうです。

ストーリー自体もゆっくり進み、ミステリ的な爽快感が後半まで抑えられていることから、一般的な探偵小説を期待して読むとギャップを感じるはずです。

 

森見氏の作品は、キャラクターの言動や舞台設定、そして文章そのものが主役といえるところがあります。

本作も、「探偵小説」ではなく、「森見登美彦版ホームズ」として楽しむ視点が求められる作品と言えそうです。


あとがき的なものとオススメ度

森見氏がホームズを書くとこうなるのかと……。

本作は登場人物も世界感もちゃんと森見ワールドでした。

それに相変わらずの文体で、それは読みやすい文章とは言えないかもしれませんが、それがまた森見氏の作品の良さであり、それを楽しめるかどうかが、そのまま本作『シャーロック・ホームズの凱旋』を楽しめるかに繋がっているように思えましたね。

 

こうよう
こうよう

森見ワールドを存分に楽しめました。

パン
パン

ちゃんと森見ワールドしてたね。


シャーロック・ホームズの凱旋」のオススメ度★3.0です(満点が★5.0です)

本作はミステリ小説としてではなく、不思議でユーモアあふれる世界観を楽しむ物語です。

また著者独特の文章を楽しめるかが、本作を楽しめるかに直結してると思います。

シャーロック・ホームズシリーズは知っておく必要はほとんどありませんが、登場人物の名前を知っていればパロディを楽しめます。


こんな人にオススメ

・森見登美彦氏の書く文章や世界観が好き

・ちょっと不思議な世界観を楽しみたい


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