☆面白い本を探している人に向けた記事
貴志祐介(著)”新世界より”を読みました。
「新世界より」を読むかどうか迷っている方は、この記事を参考にしていただけたらと思います。
作品概要
新世界よりは2008年に出版され、2011年に文庫化されたSF作品です。
単行本は全2巻(上下巻)、新書版は全1巻、文庫版は全3巻(上中下)となっています。
2008年に第29回日本SF大賞を受賞していて、漫画化、アニメ化もされた人気作品です。
「呪力」と呼ばれる超能力を手にした人々が暮らす1000年後の日本を舞台にしています。
「呪力」を持つ人々は文明崩壊後の世界で「バケネズミ」と呼ばれる生物を奴隷のように使役し生活しています。
作中の日本の人口は数万人といわれていて、物語の中心となる神栖66町には約3000人の人が住んでいます。
物語は、主人公「早季」が書いた手記の形式で、彼女の主観で進行します。
感想
良かった点
分かりやすい表現と読みやすい表現で、長い作品ですが一気に読み終わりました。
これから何か起きそうな感じや、ハラハラドキドキの展開、もっと知りたいと感じて止まなかったその世界観。
SFというとちょっと難しいイメージがありましたが、分かりやすさと読みやすさで、物語に入り込むことができ、楽しんで読めました。
概要に書いたとおり、人々は「呪力」という力を持っています。
呪力は様々なことを可能にし、物語を大きく広げています。
というか「呪力」が物語の中心です。
呪力を持った人々の生活が描かれていますが、割と描写が細かく設定もしっかりしていて説得力があります。
ネタバレになるので詳しく書けませんが、登場人物たちのの心情やその変化も中心にかなり細かく描写されていて、それが世界の秘密につながっています。
これらの設定と描写の細かさが説得力を生んでいて本作最大の魅力の一つになっています。
イマイチだった点
作者が書きたいことや伝えたいことと、私が知りたいことや面白いと感じることに若干のズレがあるように感じました。
序盤で、説明に意味があるのかないのかわからないけど、かなり詳しく描写されている部分があっても、これは後半で意味を成すものに違いない!と思って読み進めていった結果、特に複線でも重要な部分でもなかったりしました。
また、最後の最後で私(こうよう)がもっとも興味があり、とても知りたかったことがあっさりと流されたのも残念ポイントです。
物語が進むにつれ、世界の秘密が少しずつ明らかになっていきますが、全然物足りなかったです。もっともっと詳しく深く知りたかったですね。
作品全体に描写されている内容の割合が読む前の想像と違っていたのでちょっと肩透かしを食らった感じもあります。
ワクワクドキドキのシーンが想像よりもかなり多くて、それ自体は悪くないのですが、もうちょっと説明描写や世界の秘密に関する深い部分の描写があればなおよかったです。
本作は、概要で書いた通り”早季の手記”という形式で物語が進むため、描写や説明は、作中で彼女が出会った人々や本から得られた知識や情報をもとにした、彼女の考えや理解の範囲内に留まります。
読者に考察する余地を残すためにわざとそうしているような描写に見える部分もあったので、著者の狙いのようにも思えましたが…
それでもやっぱり物足りなさを感じたのは事実です。
あとがき的なものとオススメ度
私は本作の内容を知っていた状態で読んだわけではありませんが、SF大賞を受賞しているし、漫画化とアニメ化もされていて、すごく期待した状態で読み始めました。
そのおかげで、序盤からものすごいことが起きそうな感じでワクワクして読み進めることができました。
正直、物語の後半(下巻)あたりで、物語全体の秘密は大まかな予想がついていましたが、とにかくその秘密の答えと、世界の成り立ちが知りたくて、一気に読み終わってしまった感じです。
そして、その最後の説明の物足りなさと、割と想像通りの内容にちょっとがっかりしました。
ただしこれは私の理解力が足りなさが原因の可能性もあります。
私には退屈で冗長的に感じた部分も、実は重要な部分で、それ自体にも意味があるのかもしれません。
著者がわざと全て説明をしていないように感じた部分があったのも、そう考える理由のひとつです。
かなり面白い世界観の作品だと思いますが、個人的には世界の秘密をもっと詳しく深く描写してほしかったですね!
好みは人それぞれだから、いろいろ難しいよね!
「新世界より」オススメ度は★3.0です!(満点が★5.0です)
ライトノベルほどではないですが、かなり読みやすいと感じました。
深みがある独特の世界観も魅力的で、それでいて割と分かりやすいので、SF初心者でも楽しめると思います。
こんな人にオススメ
・SF初心者の人
・読みやすい本を探している
・面白い設定の作品が読みたい
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