それでも人生は続く。『サウンド・オブ・メタル』が示す“失って得る”ということ【映画レビュー】

映画

何かを失うことは、終わりではなく、新しい何かを得るはじまりかもしれません。

映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』は、音を失った青年が“静寂”の中で見つけた新たな生き方を描いた作品です。

見終わった後に、そっと心が動くような、そんな静かな感動がありました。



オススメ度について
このブログでは、映画や書籍のオススメ度を5段階で評価しています。
各評価の基準については、こちらでご確認いただけます。


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作品概要

作品名サウンド・オブ・メタル
〜聞こえるということ〜
監 督ダリウス・マーダー
主 演リズ・アーメッド
公 開2020年
ジャンルドラマ
上映時間120分
あらすじ

本作は、ドラマーのルーベンが突如として聴力を失うところから始まります。

音楽と共にあった彼の人生が大きく崩れていく中で、ろう者のコミュニティとの出会い、人工内耳による手術、そして“音がある世界”と“静寂の世界”の狭間で揺れる彼の心が描かれていきます。

監督はダリウス・マーダー。

主演のリズ・アーメッドは圧倒的な演技でルーベンという人物を体現し、観客を彼の感情に引き込みます。


作品から学べる教訓・人生観

①「受け入れる」ということの大切さ

ルーベンは、聴こえないことを最初は”欠けた状態”としか思えませんでした。

しかし、ろう者のコミュニティでの生活や、ジョーという人物との出会いを通して、”聴こえないこと”にも価値があると気づいていきます。

私たちもルーベンほどでなないにしろ、自分にマイナスだと感じる部分を誰しも持っているものです。

しかし、それらを自分の負の要素としてコンプレックスに感じたりひたすら隠そうとするのではなく、それを活かせる環境や仲間を探してみることも大切なのだと思いました。

© 2020 Amazon Studios. All Rights Reserved.
出典:『サウンド・オブ・メタル』

② やってみないとわからない

ルーベンは手術を受ければ、また聞こえるようになると信じ手術を受けようとします。

しかし聴覚障害者の自助グループのジョーは、手術は高額であるうえに、手術によって全てが元通りになるわけではないと伝えようとしますが、それをルーベンに納得させることはできませんでした。

結局、ルーベン自身が経験するしかない。

だからこそ、ジョーは優しくも厳しい態度で接していたのだと思います。

手術を受けたルーベンは、ジョーの態度や言葉の真意をそこでやっと気づいたように思えました。

助言を聞くことも大切ですが、失敗を恐れず自分の選択で経験することで、やっと本当に理解できることがあるのだと実感しました。

そしてその選択と経験により、一時的に公開することになっても、その経験が無駄になることはないと思います。

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出典:『サウンド・オブ・メタル』

③ マイナスはプラスになりうる

聴こえないことは不便で辛いことかもしれません。

しかし、ラストシーンでルーベンは静けさを選び、その中に安らぎを見出します。

マイナスだと思っていたことが、彼にとっての救いになったのです。

彼のように、一見自分にとって短所だと思っていたことも、いつかプラスに感じるかもしれません。

たとえば内向的な性格だとしても、静かに物事を深く考えられるという長所だと言えるでしょう。

ほかのマイナス要素も考え方や、その時々、状況によってはプラスに変わることがあることをあらためて感じました。

© 2020 Amazon Studios. All Rights Reserved.
出典:『サウンド・オブ・メタル』

なぜこの作品がオススメなのか

① ルーベンの聞こえ方を体験できる

この映画の良さは、リアリティと共感性の高さにあります。

音の聞こえ方を巧みに映像化しており、ルーベンの絶望や葛藤が、観ている私たちにも直接伝わってきます。

② 普遍的なテーマ

また、本作で描かれるテーマは普遍的です。

“自分の欠けている部分”、”受け入れることの難しさ”、”新たな人生の見つけ方”。

これらは誰にでも起こり得ることであり、だからこそ多くの人にとって深く刺さる作品だと感じました。


総評・まとめ

『サウンド・オブ・メタル』は、音楽を失った男の物語というだけでなく、「喪失と再生」、「違いを受け入れる強さ」、「自分自身と向き合うこと」の大切さを教えてくれる映画です。

見ている間は決して楽ではありませんが、見終わった後にじんわりと心に残る温もりがありました。


サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』のオススメ度は⭐4です!

完成度が高く、このジャンルが好きならより楽しめる作品。


こうよう
こうよう

ルーベンの負の感情に共感しすぎて、辛くなる場面もありましたが、だからこそ感じられるものが大きく、観る価値のある作品です。

パン
パン

ルーベンに深く共感できる演出がすばらしいね。


こんな人にオススメ

  • 最近、何かを失ったと感じている人
  • 自分のコンプレックスや弱さとどう向き合うか悩んでいる人
  • 心が静かに動くような映画を求めている人
  • 人とのつながりや支え合いの意味を考えたい人

本作のストーリーは、決して楽しいものではありません。

ルーベンの感情の揺れに共感しすぎて、観るのが辛くなる場面も多々ありました。

でも、それでもこの映画は、感じること・考えることの大切さを教えてくれます。

この映画が、あなたにとって“静けさの中の光”になりますように。



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