アニメと小説【四畳半タイムマシンブルース】ネタバレなし感想

アニメ

☆面白い映画や本を探している人に向けた記事

 まだまだ暑い日が続いていますね。
「四畳半タイムマシンブルース」も暑い夏の日の物語です。
 本作は小説とアニメがあり今回は「アニメ→小説」の順で、その両方を楽しみました。
本作が気になっている人は、この記事を参考にしてもらえたら幸いです。

作品概要

 四畳半よじょうはんタイムマシンブルース森見登美彦もりみとみひこ氏による小説です。
小説は2020年7月に発売されました。アニメは、2022年にがDisney+限定で配信され、その後、再編集された劇場版も公開されています。
2024年現在もアニメ版の配信はDisney+限定で、劇場版を観るにはDVD版かブルーレイ版を購入する必要があります。
 今回は、小説は電子書籍で読み、アニメはDisney+で配信版(全6話)を視聴しました。

四畳半タイムマシンブルースを視聴 | Disney+(ディズニープラス)
8月12日。下鴨幽水荘で唯一のクーラーのリモコンを水没させてしまった「私」は、突如現れたタイムマシンで昨日に戻り、壊れる前のリモコンを持ってくることを思いつくが…。

 四畳半タイムマシンブルースは、森見登美彦氏の「四畳半神話体系よじょうはんしんわたいけい」と上田誠うえだまこと氏の「サマータイムマシン・ブルース」のコラボ作品です。
簡単に言うと、サマータイムマシン・ブルースの登場人物を四畳半神話体系のキャラクターに置き換えた、そんな感じですね。

 「四畳半タイムマシンブルース」は「四畳半神話体系」を知らない人でも、話に付いていけない、とか理解できない、そういったことはありません
季節が「四畳半神話体系」は”春”、「四畳半タイムマシンブルース」が”夏”というだけで、「四畳半神話体系」のその後の話でもなく、登場人物と舞台設定が共通というだけです。
ただ「四畳半神話体系」を知っている人にだけわかる小ネタもたくさんあるので、四畳半神話体系」読んだことがある(またはアニメを観たことがある)ほうがより一層楽しめる、とは思います。
 物語のあらすじは、小説「四畳半タイムマシンブルース」巻末の、上田誠氏による解説を引用します。

 夏の物語である。蝉はけたたましく蒸し暑く、盆地の熱だまりのようなアパートにわざわざ集まって撮らなくてもいいような映画を撮り、挙句クーラーのリモコンを壊してしまった腐れ大学生どもの夏の神話だ。

~上田誠(劇作家・演出家)「四畳半タイムマシンブルース」解説より引用~

 アニメは全6話(合計:2時間5分)、小説は全1巻(単行本:228ページ)となっています。

感想

 アニメ→小説の順で楽しみましたが、どちらもそれぞれの良さがありましたね。

いつもの雰囲気

 アニメ版も小説版も「四畳半神話体系」の雰囲気そのままです。
それはさながら、夏を舞台にした「四畳半神話体系」特別編(サブタイトル:京福電鉄研究会)といった感じです。

 アニメ版「四畳半タイムマシンブルース」の監督は夏目真悟氏ですが、「四畳半神話体系」の(監督である湯浅政明氏が描く)独特の演出と雰囲気は変わっておらず、作品への愛とリスペクトを感じましたね。

 「四畳半神話体系」は、小説もアニメも、独特の作風で賛否ある作品だと思います。
「四畳半タイムマシンブルース」も同じような作風ですが、「四畳半神話体系」に比べると若干クセが少ないようにも感じました。
しかし物足りない感じは全然なくてむしろ程よい感じです。
「四畳半タイムマシンブルース」は「四畳半神話体系」以上に多くの人が楽しめる作品だと思います

個性的な登場人物

 「四畳半タイムマシンブルース」の登場人物のほとんどは「四畳半神話体系」の登場人物です。
「四畳半神話体系」の面白さの一つには登場人物の面白さがあります。
超個性的でクセが強い人物ばかりです。
彼らは「四畳半タイムマシンブルース」でもその個性を発揮しまくり、作品を面白く魅力的なものにしています。
ちなみに私(こうよう)はシナリオの原案である、サマータイムマシン・ブルースを観たことも読んだことがないのですが、各登場人物は作品に馴染んでいて、違和感のようなものはまったくありませんでした。

 そんな登場人物たちが織り成す、わちゃわちゃ感と、どうしようもないほどの”しょうもなさ”が「四畳半タイムマシンブルース」最大の魅力のひとつです

小説とアニメはどっちのほうが面白い?

 結論から言うと…アニメ版と小説版、両方ともそれぞれに良さがあり、これはもう”人による”としか言えないです。
私(こうよう)的には…両方面白くて両方好きです!(決められなくてごめんなさい…)

アニメ版の良いところ

 森見登美彦氏もりみとみひこが描く独特の世界観をアニメでも再現できている点は、本当に素晴らしいと思いました。
本作「四畳半タイムマシンブルース」は、主人公の一人称で描かれています。
この主人公は、語り口や言葉のチョイスが独特で、かつひねくれた性格をした愛すべき阿保あほです。
「四畳半タイムマシンブルース」の魅力の一つである”主人公の語り”を、アニメ版でもうまく表現できていてとても好印象でした。

 ”語り”の表現にも関係していますが、出演声優が素晴らしいのもアニメ版の良さの一つです。
主人公(私)浅沼晋太郎、主人公の悪友である小津おず吉野裕行、後輩の明石あかしさん坂本真綾が演じています。
他にも有名な豪華声優陣が名を連ねていています。
どの登場人物の声もキャラクターにマッチしていて、まったく違和感はありませんし、それどころかアニメ版「四畳半タイムマシンブルース」をより一層魅力的にしている、プラス要素であることは確実です

小説版の良いところ

 やはり森見氏が描く世界観は最高です。
独特の表現と言葉のチョイス、それらが組み合わさった文章を読むのはとても楽しいです。
物語を楽しむことに加えて文章自体を読むことが楽しくて仕様しょうがない!といった感じです。

 また「四畳半神話体系」に比べると全体的に読みやすくなっているようにも感じました。
クドすぎない感じになったというか、マイルドになったというか……
一言で表すのは難しいのですが、満足感は損なわれることなく、”森見節”の良さはそのままで読みやすさアップ!みたいな感じです!(伝われ!)

 (本なので当たり前ですが)自分のペースで物語を進めることができるのも、小説ならではの良さだと思います。
(アニメが悪いわけではもちろんないのですが)
アニメ版の大きな特徴に、あの”森見節”を主人公(私)声:浅沼晋太郎が怒涛の勢いで、語り部としてしゃべり倒す、といった点があります。
面白い演出で、声優さんの技術も含めて素晴らしいとは思うのですが、如何いかんせんすごい勢いで……
理解が追い付かないときがあります(個人の感想です)。
この主人公の語り口(”森見節”)は「四畳半タイムマシンブルース」最大の魅力の一つです。
”森見節”を味わうのに、小説(文章)はもっとも良い手段だと思います

アニメと小説どっちを先にするべき?

 賛否あると思いますが、私(こうよう)的に「四畳半タイムマシンブルース」はアニメ視聴後に小説版を読むことをオススメします。

 気になっている作品が、アニメや実写の映画と小説の2種類が存在していた場合、私(こうよう)は(基本的には)アニメを先に視聴してから小説を読みます。
逆の順番だと、自分が想像していた声や見た目が違った場合に受け入れづらく作品に集中できない、このようなことが多いからです。

 また小説の映画(アニメ/実写)化においては、良く言えばアニメ/実写版は小説版の良いところ取り、悪く言えば小説版のダイジェストのようになっているパターンが良くあります(もちろん例外もあります)。
私(こうよう)は、小説版で映画で描き切れていない部分を自分のペースでゆっくり確認しながら読み進める、こういった楽しみ方をよくしています。

 今回も例にれず、私(こうよう)はアニメ版を先に視聴してそのあとに小説版を読みました。
そしてその判断は正解だったと思っています。
アニメで印象的だった声優さんの演技(登場人物の発言と主人公の語り)が、読みながらきれいに声で再生される感じで、とても面白かったですね。
そして「四畳半タイムマシンブルース」はアニメと小説にほとんど差異がなく、アニメ版の完成度の高さを小説版を読んで改めて感じました。
 ※余談ですが「四畳半神話体系」は小説版をベースにアニメ版でより大きくその世界を広げた作品です。
「四畳半神話体系」は小説を読んでからアニメを観るほうがオススメです。

あとがき的なものとオススメ度

 前述のとおり、本作「四畳半タイムマシンブルース」は「四畳半神話体系」のキャラクターが登場する夏の物語です。
 余談ですが……「四畳半神話体系」のことを上田誠氏は「四畳半タイムマシンブルース」巻末の解説にて以下のように書いています。

 春の神話は「四畳半神話体系」。桜舞う季節に薔薇色のキャンパスライフを求めてサークルを選び取り、しかし唾棄すべき悪友・小津によって台無しにされてしまう二年間が、繰り返される神話だ。

~上田誠(劇作家・演出家)「四畳半タイムマシンブルース」解説より引用~

 「四畳半タイムマシンブルース」が面白いと感じた人で「四畳半神話体系」を観たことがない、読んだことがない人は、ぜひ「四畳半神話体系」もチェックしてみてください。面白いですよ!

 「四畳半タイムマシンブルース」オススメ度は★4.0です!(満点が★5.0です)
 アニメ版と小説版、両方とも★4.0です。「四畳半神話体系」を観たことがある、または読んだことがある人ならば、文句なし★5.0です!

こうよう
こうよう

アニメも小説も両方とも大好きな作品です。
特に小説版は前作「四畳半神話体系」を超えました!(個人の感想です)

パン
パン

両方いっぺんに楽しめば、面白さ倍増!!

こんな人にオススメ

・「四畳半神話体系」を知っている

・森見作品を読んだことがある

・わちゃわちゃしてくだらないけど愛おしい作品が観たい(読みたい)

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