水野敬也(著)【夢をかなえるゾウ0】ネタバレなし感想

小説

☆夢を探している人へ

夢が、ない……やて?」
ゾウの頭を持ち、なぜか関西弁で話す神様、ガネーシャ(敬称略)は、
アゴが外れるんじゃないかと心配になるくらい口を大きく開けて言った。

水野敬也(著)夢をかなえるゾウ0 冒頭より

 あなたには夢はありますか?
今はそれがよく分からなくても、子供の頃は夢を持っていたという人が大半だと思います。
そして、子供の頃に思い描いていたその”夢”って、どのくらいの人がかなえられたのでしょうね。

 夢を叶えることは、とても素晴らしいことですが、それと同じくらいか、むしろそれ以上に、「夢を持つこと」、「夢に向かって進む」ことは、人生を豊かにするうえでとても大切な要素です。
夢をかなえるゾウ0ゼロ ガネーシャと夢を食べるバク』は、夢を持っていない、夢がわからない主人公が、夢を持つことの素晴らしさを知り、自分の夢を探すお話です。

作品概要

 夢をかなえるゾウ0ゼロ ガネーシャと夢を食べるバク水野敬也氏による自己啓発小説です。
2022年に5月に発行され、「夢をかなえるゾウ」シリーズとしては第5弾になります。

 いままでのシリーズは夢の叶え方について書かれていましたが、本書は「本物の夢の見つけ方」について書かれています
「本物の夢」が何かを知り、それはどうすれば見つけられるか、ガネーシャが主人公に「教え」を説き、課題を出します。
テーマが夢の見つけ方になっているだけで、作風や話の流れはいつもの「夢をかなえるゾウ」と同じです。

 本書は、夢を探している人にも、すでに夢を持っている人にも、両方に刺さる内容になっています

ガネーシャの課題はその気になれば誰にでも実行できる内容になっています。
「やりたいことが見つからない」「将来の夢がない」という人だけでなく、
「今、何らかの夢を持っている」人もぜひ挑戦してみてください。

夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク 本書の使い方より


感想

 私(こうよう)は本書「夢をかなえるゾウ0ゼロ ガネーシャと夢を食べるバク」を読んで、2つのことが特に印象的に感じました。
それは「誰がどう言うか」ということと「夢そのもののこと」についてです。

誰がどう言うかで全然違う

 何を言うかも大事ですが、誰がどう言うかも大事ですよね。

 「夢をかなえるゾウ」シリーズを読んだことがある人はご存じかと思いますが、ガネーシャは教えを説く際に、過去の偉人の名言や行動を例として紹介します。
ガネーシャの出す、ちょっとよく分からない課題でも、過去の偉人や成功者を例に出すことで分かりやすく説得力を与えています。
本作でもガネーシャは偉人や成功者の名言を引用しますが、それともう一人、主人公の上司も同じように名言を口にします。

 この主人公の上司が本当に嫌なヤツです。
ソイツが主人公にダメ出しをするときに偉人の名言を口にするのですが、本当にムカつきます。
本来上司は、部下のためを思って指導や説教をするはずなのに、ソイツは自分と価値観が合わないからといって主人公をイジメるようなことを言います。

 対するガネーシャも、一見すると怠惰たいだで欲望に忠実なダメなヤツ(神様なのに!)って感じで、明らかに自分のことは棚に上げて、きびしい物言いをします。
しかし、不思議と嫌な感じはそこまでしません。
それは、ガネーシャは本当に主人公のためを思って発言しているからです。
相手のためを思って嫌われるかもしれないような厳しいことを言うのは簡単なことではありません。
その人のためを思っての発言であれば(それが間接的に指摘している人の利益になったとしても)、それは優しさなんですよね。

 ガネーシャのことを「自分のことを棚に上げて」と言いましたが、(ガネーシャに限らず)そもそも、完璧な人なんて存在しません。
相手のことを思っての発言や行動に、自分が「できている・できていない」はまったく無関係です。

 主人公の上司は、未熟な部分があって、その言動や振る舞いのせいで主人公や読者に嫌なヤツだと思われています。
そして主人公を強く叱ってはいましたが、まったく間違いを言っているわけではありません。
ただ、そのやり方や言い方がダメで、結果それが嫌なヤツに見えていた原因だっただけ、とも言えます。
本当は、自分利益以上に、会社や主人公をより良くしようと頑張っての行動なのだとしたら……
そう思われたら損で悲しいですよね。

 ガネーシャと主人公の上司は面白い対比でした。
自分はできていないことを人に指摘しても嫌われない「神様のガネーシャ」と、自分ができていることを人に指摘しているだけなのに嫌われる「主人公の上司」……
誰がどう言うかで、ここまで違うのかと驚きましたし、同時にその真意に気づけたようでしたね。

私にとっての”夢”

 私は「本物の夢」を持っていません。
理想とする人間像や理想とする生活、やりたいことや欲しいもの、そういったものはもちろんあります。
そして本書を読んで本物の夢が何なのか、なんとなくですが、分かりました。

 そしてありがたいことに、私の本物の夢はもうすぐ見つかるような気がしています。
本書で書かれている「本物の夢を見つけるための課題」の多くが、すでに実行済みか実行中のものが多かったからです。
逆に言うとクリアできていない課題は、私にとってはとても難しいものしか残っていません。
あともう一歩ですが、その「もう一歩」がとても重く感じます……。

 あなたには夢がありますか?
私は今まで、「夢」というものを持ったことがありません。
野球選手になりたい、お医者さんになりたい、学校の先生になりたい、等々……
そういったものもなかったと記憶しています。
なので小学校でよくある「将来の夢を書きましょう」といったたぐいのイベントがとても苦手でした。

 前述のとおり、理想とする人間像や理想とする生活、やりたいことや欲しいもの、そういったものはもちろんあります(それも割と最近やっと分かってきたくらい)。
作中では夢を持っていない主人公もガネーシャに、夢が本当に必要かどうかを聞く場面があります。
本書では本物の夢について、その見つけ方が書かれていますが「夢を持たないといけない」とは書かれていません(私はそう感じました)。
しかし、夢を持つことの素晴らしさは感じましたし、なにより、やっぱり夢を持っている人を見ると少しうらやましくも感じます。

 私の「本物の夢」がどんなものなのか、今はまだ全然わからないし不安もあります。
(……だからこそ、ちょっと楽しみでもあります)
なのでこれからも本物の夢を探すための行動は続けたいと思っています。
本物の夢を探すための課題は、それこなすだけでも、人生をより豊かにしてくれるような気がしますしね!

 ……あなたの”夢”はなんですか?
夢をまだ持っていない人は、「夢」というものが何なのかよく分かっていないだけかもしれません。
「本物の夢」とその見つけ方を知れば、案外簡単に見つかるかもしれません。
本物の夢を見つけ、前に進んで行きましょう!
あなたの素敵な人生をもっともっと充実したものにするためにも!!


あとがき的なものとオススメ度

 「夢をかなえるゾウ」シリーズの感想で毎回書いていますが、今までのシリーズが合わなかったと感じる人でも、本作はマッチする可能性を秘めています(これも毎回書いている気がします。

 私(こうよう)は、今までのシリーズが自分に対してまったく合わないと感じていたわけではありませんが、本作『夢をかなえるゾウ0』はシリーズの中では、いちばん内容が心に刺さりましたね。

 ものごとの「好き・嫌い」や人に対する「愛」、人生における「痛み」について理解を深めるような内容で、自分の今を肯定されているような、自分の向かう方向を示してくれるような、そんなふうにも感じました。

こうよう
こうよう

なんにせよ行動するしかないんですよね!

パン
パン

”本物の夢”が見つかるといいね!

夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク」のオススメ度は★4.0です(満点が★5.0です)
 今までの『夢をかなえるゾウ』シリーズが合わなかったと感じる人でも、本作はマッチする可能性を秘めています。
夢がまだ見つからない人、夢がある人、どちらの人に対しても、背中を押してくれるような内容です。

こんな人にオススメ

・夢がまだ見つからない

・自分を変えたいと思っている

・人生や今の生き方に不安がある

コメント

タイトルとURLをコピーしました