☆人と良好な関係を築きたい人に
すべての人は他人に何かを求め、すべてのひとは成功と幸福を求めています。
良い人間関係とは、自分が求めるものと引き換えに相手が求めているものを与えることです。
要するにお互いに利益がある(win-win)状態のことですね。
『レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方』は、人と良好な関係を築きたい人に役に立つことが、分かりやすく書かれています。
この記事は、本書に書いてあることで印象に残っていることを、私(こうよう)なりにまとめ、感想と合わせて書いています。
作品概要
「人望が集まる人の考え方」は2016年7月14日に発行された書籍です。
著者のレス・ギブリン氏はアメリカ人です。経営コンサルタント、心理カウンセラーとして知られ、本書以外にも多数の本を書いています。
本書を紹介するにあたり、冒頭の一文を引用します。
本書は人間の習性を詳しく説明したうえで、具体的な応用の仕方を紹介する。
大昔から現代まで一貫して成果を上げてきた普遍的なテクニックだから、あなたにも必ず役に立つはずである。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方 はじめに~
感想
すべての人は他人に何かを求め、すべての人は成功と幸福を求めています。
人間の習性について知っておき、それを利用することで人間関係は円滑に進み、そして、人は成功と幸福へ進んでいきます。
相手が求めているものとは
よい人間関係とは、自分が求めているものを手に入れる引き換えに、
相手が求めているものをあたえることだ。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
相手が求めていることって何でしょうか。
「人によって違う」といえばそれまでなんでしょうけど、人が普遍的に求めているものを理解すれば、相手が求めるものの本質もわかってくるのかもしれません。
”マズローの欲求5段階”というのを知っていますか?
アメリカの心理学者エイブラハム・マズローが提唱した、人間の欲求を段階的に説明する理論のことで「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5階層に分かれています。
※本書でマズローの欲求5段階について、語られるわけではありませんが、分かりやすく説明するために紹介します。
「生理的欲求」とは、生命維持に必要とされる基本的欲求のことで、食欲や睡眠欲などがこれにあたります。
「安全の欲求」とは、安心して身を守るための欲求のことで、住居や健康維持への欲求などがこれにあたります。
「社会的欲求」とは、家族や友人など他者との繋がりを求める欲求のことで、人との繋がりにより精神的な安心感を求めるような欲求のことです。
「承認欲求」とは、自分や他人からの評価を求める欲求のことで、自己の成長や達成感により得られる内的欲求、他者からの評価や賞賛を求める外的欲求があります。
「自己実現の欲求」とは、自身が持つ能力を活かしたいと思ったり、本当にやりたいことや自分らしさを追求するような欲求です。
これらの欲求は、生理的な欲求がある程度満たされると、安全の欲求を求め、安全の欲求が満たされると社会的欲求を求める、といったように、上位の欲求が満たされれば下位の欲求をより求めるようになると言われていますが、人によっては優先する欲求が違っていたり、同時に複数の欲求を求めることもあるようです。
本書では、「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の3つの欲求を理解し、うまくそれを利用することで人間関係を円滑に進める方法が学べます。
自尊心を満たす
自尊心は人間の尊厳にかかわるたいへん重要なものだ。
すべての人は自尊心を大切にしてほしいと願い、それを傷つける人を敵とみなす。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
自尊心とは、自分自身の価値を肯定的に評価する感情や意識のことです。
マズローの欲求階層理論では「承認欲求」にあたります。
人は自尊心を満たされたいと思っているものです。
それは自分も相手も同じです。
他人と良好な関係を築くということは、自分と相手の両方の自尊心を満たすということです。
そのためには自己受容を高め、完璧を求めすぎないことも重要です。
自分に対しても相手に対しても、ダメな部分を受け入れて否定しないことも必要となります。
自分も相手も悪いところもあれば良いところも必ずあります。いいところを見つけて褒めてあげましょう!
また、成功体験を積むことを大切です。
小さな成功でも効果はあるので、日ごろから積極的にチャレンジをし、相手にはチャレンジを後押してあげると良いと思います。
他にも他者と比べない、感謝の気持ちを持つなど、自分と他人の両方の評価によって自尊心は育まれます。
自分の自尊心を満たすことで、精神的に安定し理性的に振舞うことができます。そして他者への貢献意識も生まれます。
そういったことから、円滑な人間関係に繋がります。
良い印象の与え方
相手は状況に合わせて対応する。
相手はあなたが設定した舞台で自分の役割を演じる。
自覚しているかどうかに関係なく、あなたは他人とかかわるたびに特定の舞台を設定している。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
第一印象はとても重要です。
そして、この第一印象を変えるのは至難の業です。
話してみたら意外といい人で、そのギャップが良いほうに働く場合もあるかもしれませんが、たいていの場合、そこまで発展することはありません。
相手には自分が望む設定で話が進むように話をすることが必要です。
まずは自分が何を求めているか、どういう雰囲気で話をしたいかを考えて、それに合わせたかたちで話し始めます。
例えば、教師が教壇に立つ場合に自信なく話していては、生徒も不安になり、その後なにを言っても説得力に欠けます。
逆に自身満々で話している人は、多少辻褄が合わなくても、よく分からない理論を話しても、妙に説得力を感じるはずです。
相手と良好な関係を築くためには、最初から相手に良い印象を与える必要がありますし、相手から好意を得たければ、自分も相手に対して好意を持って接する必要があります。
人付き合いが苦手な人は、相手のことが分かるまでは怖くて、なかなかうまく話せないと思います。
しかし、そういった態度は相手も同じように感じているもので、あなたが好意をもって接することで相手も安心して話をすることができますよ。
人を惹きつける
他人を変える力を持っている人はいないが、相手をあるがままに受け入れると、
自分を変える力を相手に与えることができる。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
本書では人を惹きつける3つの条件が紹介されています。
①相手を受け入れる
相手を受け入れることで、相手に「自分らしく振舞う権利を与えよう」という考えです。
そうしてあなたに受け入れられた人は、あなたを信頼してくれます。
②相手を認める
相手の長所を探して「相手の長所を引き出す」こととも言えます。
そのためにも相手のいいところはちゃんと褒めてあげる必要があります。
③相手を尊重する
人はみな、自分を特別で大切に扱ってほしいと思っています。
相手を大勢の中の一人としてではなく、相手にあなたは私にとって大切であること、特別な存在であることを伝えることで、相手は自分に価値を感じ心が満たされます。
この3つは、マズローの欲求階層理論の「自己実現の欲求」にあたる欲求を相手に満たしてもらおうということですね。
自分が他人に対して何かを与えるためには、自分自身の心を満たしておく必要があるのと同じように、相手に求めるものがあるならば、相手の心を満たしてあげる必要があるのです。
人を惹きつけるような人物とは、その人にとって何かを満たしてくれる存在であるのは間違いないと言えます。
気持ちは伝わる
相手が友好的に見えるとはかぎらないのは、相手があなたに拒絶されるのを恐れているからだ。
~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
相手に何か求めるときには、相手がそれを求めていると思いながら接します。
例えば、仕事をお願いするときにも、相手はこの仕事を求めていて、かつ上手にこなしてくれるはず、という気持ちで相手に話をします。
そういったポジティブな感情は相手に伝わり、相手が感じる自分に対するイメージは良いものになります。
また相手に話しかける際は「相手は自分のことを好意的に感じている」と信じることも大切です。
ポジティブな感情は相手に伝わり、相手もポジティブな応対をしてくれます。
もちろん、いつもうまくいくわけではありませんが、自分の気持ちは相手に伝わるものです。
なので逆にネガティブな感情も相手には伝わります。
もし相手が自分に対して壁を作っているように感じるならば、自分が相手に壁を感じているかもしれません。
相手が心を開いてくれるのを待つのではなく、自分から心を開けば相手の心を開くことができるはずです。
会話のコツ
相手の特異な話題を探す必要はない。自分のことを話してもらえばいいからだ。
どんな人でも「自分」というテーマの第一人者である。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
会話では相手に話をしてもらいましょう。
自分が話すことがなくても、相手に質問をして、相手の好きなことを話してもらえば、相手はあなたに心を開いてくれます。
会話上手の秘訣は相手に心を開いて話をしてもらうことです。
質問しながら相手中心の会話を行えば相手はあなたを会話上手だと感じるはずです。
要するに、「会話上手」は「聞き上手」ということになりますね。
人間は基本的に利己的な生き物です。自分のことに興味を持ってくれる人を悪く思う人はいませんから。
そして、話を聞くことは、あなたの評価を上げることに繋がります。
不思議なもので、相手に的確なアドバイスをしようとして難しく話すよりも、相手のことを深く理解するために、相手の話をよく聞く姿勢でいたほうが、相手からは好印象なんですよね。
もちろん、相手から話を振られたときはきちんと話をしましょう。
ただし、話過ぎには要注意です!
笑顔の魔法
心のこもったほほ笑みは、すぐに相手の親愛をかき立てる力を持っている。
どんなにたくさんのお金を持っていても、ほほ笑みの魔法を買うことはできない。
神様はお金がかからない魔法をあなたに授けてくれたのだ。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方~
あなたの笑顔は相手の「承認欲求」を満たすことができます。
相手は、あなたに笑顔を向けられたことで「自分は笑顔を向けられる価値のある人だ」と感じることができます。
笑顔は伝染します。よく分からなくてもみんなが笑っていれば、それで楽しい気持ちになって、みんなでつられて笑ってしまいますよね。
あなたが笑えば相手も笑います。相手から笑顔を向けられたあなたも「自分は笑顔を向けられる価値のある人だ」と感じ「承認欲求」が満たされるのです。
作り笑いではなく、心の底から笑いましょう。
笑顔になると脳内の神経伝達物質である、ドーパミンやセロトニン、エンドルフィンが放出され、ストレスの軽減や免疫力向上などさまざまな良い効果があります。
笑顔最高!
あとがき的なものとオススメ度
本書は人間関係のコツが無駄なく的確に書かれていました。
読んだその時から使えることばかりです。
今の自分にハマる内容で、めちゃくちゃ参考になりました。
そして巻末一文がすごく印象的だったので紹介させていただきます。
本書の執筆にあたり、ひとつの目的があった。
あなたの人間関係を改善し、成功と幸福を手に入れることを手伝うことだ。
その目的を達成するまで本書は完成しない。
あなたが身をもって効果を証明したとき、私の任務は無事終了を迎える。~レス・ギブリン(著)人望が集まる人の考え方 おわりに~
結局実践しないと意味ないんですよね。
私(こうよう)もできることから始めようと、まずは「相手を褒める」を意識して生活しています。
そしていずれは「人望が集まる人」に近づければ嬉しいですね。
人のいいとこ探しは結構楽しいよ。
パンさんは最高だよ。
もっと具体的に褒めて。
「人望が集まる人の考え方」のオススメ度は★4.0です!(満点が★5.0です)
英語訳の本で、タイトル的になんとなく難しそうだと思っていましたが、かなり読みやすい文章です。
内容も分かりやすくてとても参考になります。
人間関係に悩んでいる人にも、悩んでいる人が周りにいる人にも読んでもらいたいです。
こんな人にオススメ
・人間関係を今より良くしたい
・人間関係に悩んでいる
・人間関係に悩んでいる人が周りにいる(勉強して教えてあげよう!)
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